生物と非生物の成分が一体化する未来がきた?光合成ができるようになった“サイボーグバクテリア“が誕生
このバクテリアと無機半導体のハイブリッド光合成システムでは、バクテリアが、自身にまとわりついた半導体のナノ分子による集光作用を利用し、代謝を持続している。つまり無機化学の応用によって、この生物が本来持っていない光増感(光の取り込み)機能を拡張し、新たな結果を得たということだ。
硫化カドミウムは半導体として、光センサーの素材になるなど、光エレクトロニクスの分野でよく使用されている。サーモアセチカも、電子の移動を受けやすく、効率よく酢酸を産出する性質があり、人工光合成にうってつけのバクテリアであった。光を利用するのに長けた無機半導体と、生産性に富むバクテリア、それぞれの長所がよく生かされたシステムといえよう。
■人工光合成で太陽エネルギーの有効活用を
この研究を行ったのは、28歳にしてカリフォルニア大学バークレー校の教授に就任したという経歴を持つペイドン・ヤン教授らのグループである。ヤン教授は、光の粒子を利用する技術である「ナノフォトニクス」の研究家だ。
研究の成功を受けて、ヤン教授は、「さらに進化した次世代の人工光合成技術を目指し、生物と非生物が持つ成分の一体化を進めていける」と自信を深めている。
このように、人工光合成を低コスト・高効率で行えるようになれば、気候変動の原因とされている二酸化炭素対策や、再生可能エネルギーの開発を一度に実現することができる。すでに日本でも、酢酸から高効率でエタノールを人工光合成によって生成することに成功しており、近いうちに太陽エネルギーをフル活用したエコな社会が到来しそうだ。
参考リンク:「Berkeley Lab」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊生物と非生物の成分が一体化する未来がきた?光合成ができるようになった“サイボーグバクテリア“が誕生のページです。太陽、バクテリア、4k、光合成、半導体などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで