なぜ人間だけアゴ(オトガイ)を持っているのか?生物学者もお手上げの人体ミステリー
俳優のカーク・ダグラスやジョン・トラボルタなど、アゴの先が割れている男性はイケメンでセクシーだといわれているが、そもそもこの部分は割れていても割れていなくても、我々人間しか持っていないパーツであることをご存知だろうか。
■“オトガイの謎”に迫る有力な仮説の数々
この人間のアゴの先端部分はオトガイ(頤)と呼ばれ、他の動物にはもちろん、チンパンジーやゴリラにもない人間特有のボディパーツのひとつである。ではこのオトガイは何のためにあり、人間はこのオトガイをどのようにして身につけたのだろうか。
米・デューク大学のジェームス・パンプッシュ博士とフロリダ大学のデヴィッド・ダーリング博士は、なぜ人間だけにオトガイがあるのかを説明するこれまでの有力な仮説論文を共同で編纂し、先頃、学術誌「Evolutionary Anthropology」で発表している。
こうしてオトガイの謎に挑んだ先達の仮説の数々が紹介されることになったのだ。しかし端からガッカリさせるようで恐縮だが、パンプッシュ博士らにいわせればどの仮説も「すばらしい仮説ではない」ということだ。
まずこれまで最も有力な仮説だとされてきたのは、
●「オトガイは人間がモノを噛み砕く動作である咀嚼を助ける働きがある」
という説明だ。しかし昨年6月に「Journal of Anatomy」誌に発表された論文で、アイオワ大学の研究チームが3歳から20歳までの40人の実験参加者のオトガイの機能を分析しており、その結果、オトガイは咀嚼に関して何の役割も果たしていないことが判明し、一転してこの仮説は除外されることになる。
次に有力な説としては、
●「人間の表現豊かなおしゃべりの能力に関係している」
という仮説だ。確かに微妙な音階を使い分けるスピーキングで複雑なコミュケーションを可能にしていることは我々人間とほかの動物を分け隔てる大きな特徴なのだが、しかしこの仮説も根拠は薄いようだ。事実ほかの哺乳類も種によっては多彩な発音機能を持っており、また人間と同じように母乳などの液体を器用に口で吸い込むこともできる。それゆえ“哺乳類”という枠に収まり、この仮説も苦しい立場に置かれているようだ。
冒頭で話題にしたように、オトガイが割れるほどに大きく目立っている男性はセクシーに見られることが多いことから、ライオンのタテガミや、クジャクのオスの飾り羽のように性的魅力をアピールするためのものだという仮説もある。これも食指が動く説かもしれないが、もしそうであるならオトガイは男性のみある部位ということになり、女性にもあることが説明できなくなる。そして男性より少ないと思われがちだが、アゴの先が割れた女性も実際に存在している。
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