明らかに人間を超える人工知能の誕生か? 1億ドルの脳解析プロジェクト「MICrONS」

 約30年前、アメリカ政府はヒトゲノム解析プロジェクトに着手し、13年間にわたる努力の末に人の遺伝子マップを完成させた。このプロジェクトの成功は、旧来の遺伝子学を刷新し、今では人類史上最も成功した科学的業績の一つとも考えられている。そして今、再び壮大な挑戦が始まろうとしている。科学誌「Scientific American」のレポートによれば、現在、アメリカ政府主導のもと1億ドルの予算をもつ脳の解析プロジェクトが開始されるとのことである。


■1立方ミリメートルの脳の働きを完全に解明する挑戦

 アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)のリサーチ部門の一つである情報先端研究プロジェクト活動(IARPA)は、MICrONS(The Machine Intelligence from Cortical Networks program ※日本語にしてみれば、「皮質ネットワークからの機械知性プログラム」と言う意味になるのだろうか)、と称された1億ドルの予算をもったプロジェクトに着手する。このプロジェクトの目的は、1立方ミリメートルの脳をリバースエンジニアリングして脳の認識方法や計算手順、評価方法などを分析し、人工知能のアルゴリズムに役立てようとするものであるという。

 このプロジェクト「MICrONS」は、オバマ大統領が推進している脳研究「BRAIN Initiative」の一環として、コンピュータを脳のように機能させようとする試みの一つでもあり、脳のアーキテクチャを解析し、人工知能が脳のように働けるようにするものとされている。現時点でも、たとえばiPhoneのSiriで音声を認識させたり、カーナビで目的地までの自動運転をしたり、Facebookで人間の顔を認識させるなどと、特定の情報の認識と分析は実行可能となっている。またアルゴリズムの側面からみれば、チェスや碁などもプログラムされたアルゴリズムが人間のものよりも単機能としては優れてきているとみなすケースもある。

 しかし、それは情報を分析、簡略化し、パターン化する1980年代に開発されたアルゴリズムの上に成り立っているものであり、曖昧な情報や、少ない情報下においては精度が極端に下がり、パフォーマンスが低下する傾向にあるという。例えば、人間ならば犬を1~2匹見ただけで、犬を認識することができるが、まだコンピュータにはそれは難しいのである。

 すでにこのプロジェクトには3つの科学者チームが招集されていて、それぞれ5年にわたる研究のアプローチが提案されている。1つ目のチームは、ハーバード大学の生物学者でコンピュータサイエンティストのデビッド・コックス氏が率いるチーム、2つ目のチームはカーネギーメロン大学のコンピュータサイエンティストのタイ・シン・リー氏が率いるチーム、3つ目のチームはベイラー医科大学の神経科学者のアンドレアス・トリアス氏が率いるチームである。

 それぞれのチームは、異なる方法で1立方ミリメートルのげっ歯類の脳皮質の完全な回路マップを作ることを目標としている。げっ歯類の1立方ミリメートルの脳は、人間の脳全体を比べると100万分の1以下の容量ではあるが、脳のニューロンの活動を検査する技術は現時点で、1度に数個のニューロンの活動を検査するか、数千の活動を磁気共鳴法を利用してイメージングすることしかできていないのである。MICrONSの統括責任者であるフォーゲルシュタイン氏の言葉を借りれば、「アメリカ全土の地図を1インチ刻みに正確に作るようなもの」であるという。

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