身体の40%がプラスチック! 四肢切断女性が人間マネキンとしてモデルデビューするまで
■ファッションショーのランウェイを義足で往復
これまでずっとファッションに興味があったクレスポさんは、好きなファッションデザイナーの1人、キャリー・ハンマーのファッションショーで以前、車イスのモデルが登場したことにいたく感銘を受けていた。そこで彼女は、自分もファッションショーにモデルとして出てみたいと、キャリー・ハンマーに直接メールを送ったのである。
「舞台のランウェイに車イスの障害者が登場したとき、私はとても胸を躍らせました。一般の人が障害者を目にすることは少ないと思いますが、私はこのショーが障害者への関心を深めるものになることを望んでいます。“美”はあらゆる姿と形に及ぶものです。そこに適切、不適切の区別はまったくないのです」(クレスポさんがキャリー・ハンマーに宛てたメールの一部分)
クレスポさんのメールに感激したキャリー・ハンマーは申し出を快く受け入れ、こうしてクレスポさんは2014年の9月5日、ニューヨーク・ファッションウィークのランウェイに立つことになる。クレスポさんは文字通り“立って”いて、驚くことに車イスでの出演ではなかったのだ。キャリー・ハンマーがデザインした真っ赤なドレスを身にまとったクレスポさんは、なんと介添えなしに両脚の義足でランウェイを往復したのである。この時のクレスポさんの活躍を多くのメディアがとり上げて一躍彼女の存在が知られることになった。
晴れて世界初の“四肢切断モデル”として華々しくデビューを飾ったクレスポさんは、自身のことを“人間マネキン”とユーモアを込めて称している。
「身体の40%がプラスチックの私は、 ショーウィンドーの中のマネキンみたいなものです。よく笑いながら母親に『私って“人間マネキン”でしょ』って冗談を言ってますよ」(カレン・クレスポさん)
かねてから興味のあったファッションの世界に加わる夢を叶えた彼女には、今後もまだまだ挑戦すべきことがあるようだ。現在もまだ看護師として“休職中”である彼女は、近いうちにパートタイムで復職することを考えているという。また将来は、障害者用の特注の乗用車を購入して再び車を運転したいということだ。
一転して充実した日々が訪れた彼女は現在、人々を励ましてヤル気を起こさせる“モチベーショナルスピーカー”として各地で講演活動を行っている。世界初の“四肢切断モデル”のカレン・クレスポさんの活躍はまだまだ続きそうだ。
(文=仲田しんじ)
参考:「Daily Mail」、「BuzzFeed」ほか
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