ダ・ヴィンチが描いた“最後の晩餐”は間違い! キリスト“最後の晩餐”の真のメニューと食事法が明らかに!

■当時のユダヤ人は床に座って食事をしていた

 ウルチオーリ氏の発言によれば、「イエス・キリストがユダヤ人であったと想定し、当時の食習慣や食に関してのユダヤ律法に照らし合わせながら研究調査を始めた」とのこと。当時のエルサレムでは、多くの絵画に描かれているような椅子に座ってテーブルで食事をする習慣はなく、床に置かれたクッションにもたれかかりながら、低いテーブルで食事をするのが一般的であったそうだ。

 また、食事に関しては食材から作法にいたるまで厳しい律法下にあるユダヤ人であることから、食器はおそらく天然石から作られたものと、当時の流行であった赤土のテラ・シギリタ陶器であったと想定される。

ダ・ヴィンチが描いた最後の晩餐は間違い! キリスト最後の晩餐の真のメニューと食事法が明らかに!の画像2ジャコモ・ラファエリによる複製の『最後の晩餐』 画像は「Wikimedia Commons」より

 聖書に描写されている、水をぶどう酒に変える奇跡の記述がある「カナの婚礼」から、当時のユダヤ人が食べることを許されたものと禁じられたものを分類することや、ヘロデ王の宴席を読み解くことによってローマ人とユダヤ人の食習慣の差などをウルチオーリ氏らは解明した。また、紀元3世紀のカタコンベ(地下墓地)に描かれていた絵画の調査などから、最後の晩餐のテーブルに置かれていたものが明らかになっていったとのことである。そして宴席での席順に関してもヨハネによる福音書の記述から、ユダがイエス・キリストの右か左隣にいたことも読み取ることができた。さらに、メニューもわかってきたという。

・豆のシチュー
・子羊の肉
・オリーブ
・苦菜(ニガナ)
・魚醤(ぎょしょう)
・無発酵パン
・アロマタイズドワイン

 これらが「最後の晩餐」で食べられた可能性が高いとのことだ。

 子羊のロースト、チョレントと呼ばれる低温で長時間煮込まれた豆のシチュー、ヒソップ(ヤナギハッカ)とオリーブ、苦菜とピスタチオ、デーツ入りのハローセト、果物とナッツペースト…。日本人にはなじみのない料理ばかりであるが、おいしいかどうか少し気になるところだ。
(文=高夏五道)

参考:「Live Science」ほか

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