「首アリ魚」は存在するのか? 生物の進化で判明した“首”の役割とは?
今から3億7500万年前に一部の魚が陸の上へと“偉大な一歩”を踏み出し、我々の祖先となる四肢動物へと進化した。この時、この陸に上がった魚にはヒレから進化した足があったのだが、もうひとつ普通の魚にはない特徴を備えていた。それは“首”の存在だ。
■“陸に上がった”古代魚には首があった!?
周囲を見回すとき、魚は水の中で身体全体を動かして辺りを一瞥する。泳ぎのスペシャリストである魚にとって、身体の向きを変えることは、我々が首を動かすことと同じくらいたやすいことなのだろう。多くの魚は身体をわずかに動かすだけでも、他の種には真似できない推進力を得ており、もし魚に首があったとしても邪魔なだけで、泳ぎの能力を低下させるものになることも間違いなさそうだ。
しかしながら首を持つ魚がこの世にまったく存在しないのだろうか? 悠久の時をさかのぼれば、かつて“首らしきもの”を持つ魚が存在していた。そしてその魚は陸に上がって我々の祖先になっていたのだ。
2006年にカナダでその化石が発見され、生物史上初めて“陸に上がった”古代魚であると考えられているのがティクタアリク・ロゼアエ(Tiktaalik roseae)だ。生物学的な分類でいえば、魚類と両生類の中間に位置する進化の途上にある状態の種ということになる。
フィラデルフィア自然科学アカデミーの学芸員であるテッド・デシュラー氏によれば、ウナギなどを除く一般的な魚の特徴として、頭蓋骨から胸ビレ、そして背骨と骨の各部位がしっかりと結びついていることを科学系サイト「Live Science」の記事で言及している。この堅牢な骨格によって、魚はきわめて効率的な泳ぎを実現しているのである。
デボン紀と呼ばれる3億7500万年前の湖沼に生息していたといわれるティクタアリク・ロゼアエだが、その頭蓋骨と肩甲骨の結びつきは、一般の魚のようにがっちり結びついてはいないということだ。つまり頭蓋骨と胴体の骨の間に多少の“あそび”があったということである。このあそびこそがまさに最初の“首”だったのだ。「生きる化石」として有名な古代魚・シーラカンスの骨格もまた、頭部と胴体との間にあそびが存在しているという。
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