経絡とツボの科学的な根拠とは? 東洋医学はやはり正しい?
古来より東洋医学の基本的な概念として根付いている経絡(けいらく)と、いわゆるツボと呼ばれる経穴(けいけつ)。
経絡とは気血の通り道として考えられており、臓腑と体表とを結んだ、全身に分布するルートのことを表している。だが、その経絡が体内のどこに存在するかについては、科学的には判明していなかったのだが……。
■“ボンハン管”全容解明への奮闘が続く
過去に初めてこの経絡が実体として存在することが発表されたのは1960年代、北朝鮮平壌大学のキム・ボンハン(金鳳漢)博士によってである。
血管でもリンパ管でもない別の脈管系“ボンハン管”が全身にくまなくはりめぐらされており、この経絡系統は細胞の形成、維持、死滅の過程を調節し支配しているとして当時は一斉を風靡したのだが、論文には方法部分の詳細がなかったためほかの研究者が追試することは難しく、インチキ学説とみなされ、やがてブームも下火になってしまった。
以来ずっと不明なままだったが、21世紀になり再びこの謎に挑む科学者たちが奮闘しているという。
韓国では数十年前では難しかった精密顕微鏡などの研究機器や還流技術を駆使して実験を拡大。糸のような構成のボンハン管への集中的検査が開始された。色をつけた特殊な染料を管内に注射する、「アクリジンオレンジ蛍光染色法」と呼ばれる方法によってボンハン管の特徴であるサイズや形状、核の散らばり具合を確認するに至ったのである。
これらの調査結果から、経絡のルートは皮膚に限定されているものではなく、血液のような循環ルートを持ち幹細胞を体内に張り巡らされていることが判明したという。もっとも、経穴に相当する皮膚のボンハン小体の検出には至っておらず、経絡経穴についての完全な科学的証明はまだだ。
北朝鮮国内でも一時はボンハン博士が記念切手になるほど称えられていた。しかし後に学説が抹消され、政治的理由から博士が消息不明になってしまったという、なにやらいわく付きなこのボンハン学説。他国でも続々研究がなされているそうなので、続報に期待したい。
■経穴(けいけつ)、ツボ療法
科学的な証明は兎も角、経絡上の経穴を把握することで体調を改善することは昔から広く行われている。東洋では2000年以上前より体を陰陽に分けてエネルギー・ライン(気の流れる道)と呼ばれる、体調のバランスに関わるネットワークを重視してきた。
西洋医学が病気を治すことを目的にしているのに対して、東洋医学は病気を防ぐことに重点をおいている点が興味深い。場所や呼称は概念の多少は違えど、タイ古式マッサージの「セン」、インドの「ヨガ」、中国や日本の「ツボ」、「鍼」、「指圧」などだ。
例えば中華圏でポピュラーなツボ押しマッサージは、もし体に不調があれば直接的にその箇所のツボを押すことで各臓腑に刺激を伝えて健康を保つために行なわれるが、日本独自の指圧も同様の効果が得られるとして知られている。
ツボは経絡の通路中にある空所の意味があって経絡の“門戸”といわれ、気が出入りするところでもあるのだが、面白いことに直接体に触れない気功や太極拳、ヨガなどもこの経絡と非常に関係があるのだ。どれも呼吸が重要であり、気を蓄えて全身に循環させることによって体を整える。
息をゆっくり吐きながら、ぐーっと手や足を動かす時、気がすーっと通る……そう、気は経絡を通ってツボに抜けるのである。自分にあった健康法として、気功や太極拳、ヨガなどを取り入れてみるのも良いかもしれない。
(文=Maria Rosa.S)
参考:「EWAO」ほか
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