■本土の人間は差別者であることを自覚して
そんな写真の一方で、初沢自身の政治的な主張は明確だ。辺野古の基地建設現場では反対派として抗議活動に参加しているし、巻末には写真から伝わることとは違った、沖縄に対する思いの丈が綴られている。
「写真とは打って変わって、巻末のテキストではフラットさを一切排除し、自らのポジショナリティ(権力的位置性)を確認することに多くを割きました。自分自身も含め、本土の人間が抑圧者、差別者であることを自覚することからしか沖縄との関わりは始められない、その自覚がないまま容易に二項対立を越えることなどできない、ということを強調したんです。写真で沖縄の内なる多方向的な意思を表現をしましたが、それだけでは『沖縄も多様です』で終わってしまう。あらゆる撮影対象について言えることですが、写された地域、そこに住む人々への責任をどう取るかはあまりに重要です。それによって写真1点1点の意味さえ変ってしまうのですから」(初沢)