ギリシャの海底古代都市遺跡、実は「人工物ではなかった」ことが判明! 与那国島海底地形をめぐる議論にも影響か?

 ギリシャの海底に沈む古代都市遺跡が、実は人の手によって作られたものではなかったという驚きの研究が発表された。

ギリシャの海底古代都市遺跡、実は「人工物ではなかった」ことが判明! 与那国島海底地形をめぐる議論にも影響か?の画像1画像は「BBC News」より引用

■謎の海底遺跡、実は◯◯によって作られた!

 今月3日付の英「BBC News」が報じたところによると、問題の海底遺跡はギリシャ・ザキントス島のアルカナス港近くに存在する。もとは地元のダイバーらによって発見され、浅瀬の美しい海の底には、石畳で舗装されたような床や、折れた円柱の根元のようなものが見られた。現地ではヘレニズム時代の港の遺構ではないかと考えられていた。

 地中海に面するギリシャでは、海底遺跡は決して珍しいものではなく、ギリシャ文化省には海中考古学専門の部署がある。過去にこの場所も調査されているが、陶器など人間の生活していた痕跡は見つかっていなかったという。

 イーストアングリア大学とアテネ大学の研究者らが学術誌「Marine and Petroleum Geology」に発表した論文によれば、この遺跡は海底から湧き出るメタンを栄養とする微生物群が500万年かけて作り出した構造物なのだという。微生物の活動によって海底に形成された岩石が、一見すると波に洗われて浸食された古代建築の痕跡に見えているとのことだ。論文著者のアンドリュース氏は「これは決して珍しい現象ではないが、このような浅い場所では稀です。ダイバー達が人工物だと勘違いしてしまうのも無理はありません」とコメントしている。


■専門家の意見

 生物学に詳しい理学博士X氏は、今回のニュースを次のように解説する。

「海底のメタン噴出口では、メタンを栄養にして硫化水素を作る微生物と、硫化水素を栄養にして有機物を生成する微生物とが共同体を作っていることが判明しています。よく知られているのは深海での事例で、暗くて栄養や酸素が少ない環境でも、メタンの吹き出し口には数多くの微生物が暮らしているのです」

 これらの微生物たちは、ほかの生物の餌となる有機物のほかに、炭酸イオンを生成するという。

「炭酸イオンの周囲では、化学反応によって炭酸塩岩が形成されます。メタンの吹き出し口周辺に密な塊を作った微生物群が、パイプのような柱状の構造を作り、さらに海底に浸出したメタンを餌にした微生物群がゆっくりと水平に広がって形成したのが石畳状の構造ではないかと推測されます」

 論文によれば、これら構造物は鮮新世(約500万~258万年前)の時代から成長を続けているという。海の底にあったのは、2000年以上前の古代遺跡ではなく、途方もない時間をかけて作り上げられた自然の造形物だったということだ。

 ところで、日本の与那国島にも海底遺跡と呼ばれている場所がある。人工物かそうでないかは現在も議論が続いているが、今回の発見はその議論にも一石を投じる可能性がある。海の中に柱が建っていても、それが骨董品とは限らないのだ。
(吉井いつき)

参考:「BBC News」、「ScienceDirect」、ほか

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