「刑事事件は趣味みたいなもの」 法曹界最強の弁護士が語る“すべてが好転し始めた”キッカケとは?
■弁護士たちも厳しい競争に晒されている
――続いて国選弁護人についてお聞きします。よく「国選弁護人の質が低い」といわれますが、これについてはどう思いますか?
高橋 合っている部分と、間違っている部分があります。結論からいうと、国選弁護人の質が悪い訳ではなくて、質の悪い弁護士が国選弁護事件を担当することがある、というのが正しい言い方です。ちなみに、今回僕が無罪を勝ち取った裁判員裁判って、3件とも国選なんですよ。
――そうだったんですか! 高橋さんのような弁護士が国選として付いてくれることもあるんですね!
高橋 僕が尊敬する、素晴らしい弁護士が国選の仕事をすることも多々あります。ただ、質の悪い弁護士が紛れ込んでいるというのも事実です。国選の登録をしていれば仕事が割り振られてくるという仕組みになっているので、結局いい弁護士も、そうでない人もいるんですよね。私選の場合、被疑者は弁護士と会ったり実績を見てから選ぶわけですが、国選の場合は、どんな弁護士が付くのか蓋を開けてみるまでわからない訳です。
――国選の場合、いい弁護士が付くかは運次第なんですね。では質の悪い弁護士とは、どのような弁護士なんでしょうか?
高橋 本当にいろいろですが、いまの新しい裁判の制度に対応できていない高齢の弁護士もいますし、まったくやる気のない弁護士もいます。面倒くさいから容疑を認めさせて、弁護士が冤罪を作っているケースだってあるんです。
――それは……! なぜそんな弁護士が紛れ込んでしまうのでしょうか?
高橋 今は弁護士の数が増えてしまって、僕らは事件の取り合いなんですよ。なので、営業スキルがなくて、仕事のスキルもない弁護士が国選に流れ込んでしまうんです。それと、有能な弁護士は国選だとお金にならないからやらないという面もあるんですよ。私選に比べると、国選は圧倒的にお金になりませんから。国選の報酬がもっと上がれば、有能な弁護士が国選の仕事に積極的になって、質の悪い弁護士が淘汰されていくと思うんですけどね。稼げない弁護士を救うために国選があるようでは、本末転倒ですから。
■「刑事事件は“趣味”。恨まれることもあるが続ける」
――では今回、無罪を勝ち取った3つの事件はいずれも国選だったいうことですけど、高橋弁護士はどうして国選の仕事をしているのでしょうか?
高橋 僕は民事事件で食べているので、刑事事件は本当にライフワークなんですよ。法廷に立って検察官と戦ったり、プレゼンテーションすることが弁護士の仕事だと思っているので、誤解を恐れずに言うならば刑事事件は僕の“趣味”です。やりたくてやっているので、採算は度外視です。
――弁護士という仕事は遺族の方から恨まれたりすることもあると思うのですが、何か危険な目に遭われたことはありますか?
高橋 直接なにかされたことはないですが、やはり被害者がいる事件になると僕らは敵視されます。今回の3つの事件のうち危険運転致死の事件では、僕らがどのルートで裁判所に行くかとか、どのタイミングで裁判所から退出するのかなど、外で被害者遺族と鉢合わないように考慮されていました。あと、刑事事件よりも意外と離婚裁判で相手側に恨まれるというケースが多いんですよ。刺されて亡くなった弁護士もいますから、僕は事務所の鍵は絶対に閉めるようにしてますし、知らない人の訪問は断るようにしています。
――担当の被疑者は容疑を否認しているけど、これは明らかに「やってるな」と思って弁護することもあるんですか?
高橋 これはありますよ。僕は本人の言っている内容と証拠が矛盾していることがあれば、疑問をすべて本人にぶつけるようにしてます。たぶん、警察の取り調べよりも裁判所での尋問よりも、僕の面会の方が本人にとってはキツいと思います。僕が納得するまで、根掘り葉掘り聞くわけですから。そのプロセスを経ているので、葛藤とかそういったものはまったくありません。
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