エクステの人毛のため、坊主になる女たち ― 巨大エクステ業界の“黒い実態”とは?
■美しい髪を奪い取る悪徳業者が跋扈
ロンドン大学ゴールドスミス校で人類学を教えるエマ・タリオ教授は、過去にインドで取材したところ、いずれの女性も自分の髪を神に差し出すことを誇りに思っていたと話す。インドでは、女性の剃髪行為は聖地詣や巡礼のように考えられているのだろう。
だが、彼女らの信仰心を利用して、美しい髪を奪い取ろうとする悪徳業者がいるのも事実だ。インドでは、業者からわずかばかりの金でそそのかされた夫が妻に髪を売り渡すよう脅したり、見知らぬ男たちから力づくで髪を切り取られる事件まで発生している。被害者は若い女性ばかりではない。年端もゆかぬ子どもたちまで、オモチャと引き換えに頭を刈られるというのだから痛ましい。
また、聖地ティルマラの某寺院は、地元の女性たちの髪を売り、1年間で2200万ポンド(約28億)を稼ぎ出し、新しい学校や病院の設立に使ったとされているが、実際の資金の流れは不透明だ。
さて、貧しい女性たちからかき集めた髪はその後どうなるのだろう。雪だるまのようにまとめられた人毛は、加工工場へと運ばれる。秘密裏に動く人毛売買は危険も多く、業者たちは輸送中も気が抜けない。盗難に遭うこともあるからだ。
工場では、気の遠くなるような“毛ほどき”作業が待っている。それを83歳の老婆が信じられないほどの低賃金で請け負っているのだ。眼精疲労や腰痛から脱落していく者もいる。最終的にインド女性の美しい黒髪は脱色されブロンドに染められ、アメリカへと輸出される。その後、世界中のヘアサロンで重宝がられるという寸法だ。それゆえ、インド女性の髪の需要はますます高まり、人毛のトップ輸出国の一つになっているのだ。
人の髪の毛が大金になる世界。インドでは、この黒髪の山を「ブラック・ゴールド(黒色をした金塊)」と呼んでいる。
(文=佐藤Kay)
参考:「Daily Mail」、「HairBoutiqueIndia」ほか
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