記憶違いはパラレルワールドの影響だった!? 超常現象研究家が主張する“マンデラ効果”が無視できない理由とは?

■モハメド・アリは1990年代に亡くなっていた!?

記憶違いはパラレルワールドの影響だった!? 超常現象研究家が主張するマンデラ効果が無視できない理由とは?の画像2モハメド・アリ氏 画像は「Wikipedia」より

 ネルソン・マンデラ氏のケースだけではない。元WBA&WBC統一世界ヘビー級チャンピオンであるモハメド・アリ氏の昨年の訃報の時にも、一部の人々はひどく驚かされたという。もちろん熱心なファンにはショックだったが、そういう話とはまた別で、驚いた多くの人々にとってアリは1990年代からせいぜい数年前の間にすでに亡くなった人物であったというのだ。とすればこれもまた、別の平行世界でアリが90年代に亡くなった“事実”が、ある一群の人々の体験と記憶に滑り込んできたということなのだろうか。

 またこの2人のケースほど人数は多くないものの、映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(1990年)で一躍有名になった俳優、パトリック・スウェイジの2009年の逝去が信じられない(もっと前に亡くなっていた)という人々がおり、さらに興味深いのは2005年にアメリカ南東部を襲ったハリケーン・カトリーナによる大災害が2005年の8月ではなく、不思議なことに同年4月だったと記憶している人が無視できない数、存在しているという。

 こうして具体的に例を挙げられるとますます気になる“マンデラ効果”だが、精神科学の世界からはそれらの現象は誤情報効果(misinformation effect)に該当するのではないかという指摘もあるようだ。

 誤情報効果というのは、いきなりもたらされた情報によって、当人の昔の記憶が変る可能性をはらむ現象で、たとえその情報がウソであっても過去の記憶の信頼性が揺らいでくるという心のメカニズムである。例えば昨年急にもたらされたモハメド・アリ逝去のニュースにショックを受けた人々の一部には、その訃報の影響で自身が持つアリに関する記憶があいまいになり「……? もうとっくの前に亡くなっていたのではないのか?」と過去の記憶がなんとなく改変されてしまったということになる。とすれば誤情報効果説でも説明は可能になるのかもしれない。

 昨年、オックスフォード英語辞書は2016年の世界をあらわす言葉にポスト真実(post-truth)を挙げたが、そこへもしパラレルワールドの干渉も加わるとすれば何がこの世の真実であるのか、ますます混乱が増してくるのかもしれない。パラレルワールドの影響があるのならなおのこと、世の中の真実の動向をよく見定めて混迷の時代に備えたいものである。
(文=仲田しんじ)

参考:「Express」ほか

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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