森の中でサルに育てられた8歳少女が発見される! 金切り声を上げ4足歩行する姿が完全に野獣=インド
インドでサルと暮らしていた8歳の少女が発見された。言葉を解さず、金切り声をあげ、4本足で歩く姿が、キップリングの作品『ジャングル・ブック』に登場する狼に育てられた子ども「少年モーグリ」にそっくりだとして「少女モーグリ」と呼ばれ、世界中で大きな話題になっている。
■サルに育てられた「少女モーグリ」
英紙「Daily Mail」(4月6日付)などによると、少女はインド・ウッタルプラデーシュ州にあるネパールの国境沿いの「Katarniaghat自然保護区」で、現地の木こりによって発見されたという。木こりらは少女を保護しようしたが、近くにいた仲間と思しきサル3匹の猛攻に遭い断念。その後、パトロール中だった州警察官Suresh Yadav氏が、サルらの攻撃を受けながらも無事保護したという。
目撃者は、サルと一緒にいた少女は半裸だったものの快適な様子であったと漏らしており、相当長い期間、サルとともに森で暮らしていたとみられている。名前から身元まで個人を特定できる情報は一切不明で、現在も州内の病院で治療を受けているとのことだ。
2カ月前に保護された当時は、人間にどこか怯えた様子で、医師に対しても敵意をむき出しにし、まるで野生動物のように凶暴だったとのことだが、現在は二足歩行で歩けるようにもなり、落ち着きをみせているという。D.K.Singh医師は、彼女の回復を次のように語っている。
「彼女はまだ話すことはできませんが、我々が言うことは全て理解できているようです。時には笑みを見せてくれるまでになりました」
発見時は肘や脚に怪我があったものの命に別状はなく、地元警察は近隣の家族が彼女を捨てたのではないかと考えているとのことだ。
■野生児の末路
これまでにも動物に育てられた「野生児」の事例はいくつも報告されており、たとえば、1920年にインドで発見された、狼に育てられた姉妹アマラとカマラ、3歳から8歳まで犬に育てられたと思われるウクライナの“ドッグ・ガール”オクサナ・マラヤ、2歳までチンパンジーに育てられたナイジェリアのベロなど枚挙に暇がない。
彼らのように動物に育てられた人間は、多くの場合、社会生活にある程度は適応するようになるようだが、幼い時に言語に触れる機会が無かったため、集中的な訓練を受けても言葉を習得することは難しく、簡単な単語とフレーズを暗記するのみだという。
また、人間社会のストレスに耐え切れず野生での生活に戻りたい欲求に駆られる場合もあり、人間に保護されたからといって必ずしも彼らが幸福になるとは限らないようだ。“サルたちと快適に過ごしていた”「少女モーグリ」の場合も例外ではないだろう。
彼女を森に放置することが正しい選択だったとは言えないが、「彼女の幸福を奪ったのかもしれない」という負い目を感じながら、人間社会の不要なストレスを与えないよう周囲の人々が気遣ってあげることが今後大切になってくるだろう。
(編集部)
参考:「New Scientist」、「Mirror」、ほか
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