ブラックホールよりも「ホワイトホール」研究がアツい! パラレルワールドの物質を吐き出し、我々の宇宙も作っていた可能性

 光さえ飲み込んでしまう絶対無「ブラックホール」。だが、飲み込まれたあらゆる物質や情報はどうなってしまうのだろうか? ここ100年間、この素朴な疑問に物理学者は頭を悩ませてきた。


■ブラックホール情報パラドクス

ブラックホールよりも「ホワイトホール」研究がアツい! パラレルワールドの物質を吐き出し、我々の宇宙も作っていた可能性の画像1画像は「Express」より引用

 ブラックホールは光も逃げ出せない事象の地平(event horizon)のため、直に観測することはできないが、周囲の天体に及ぼす影響から、ほぼ間違いなく存在するとされている。たとえば、「はくちょう座X-1」とばれるX線星はブラックホールの最有力候補天体である。

 しかし、ブラックホールの存在は「ブラックホール情報パラドックス」と呼ばれる、大きな理論的パラドックスを引き起こしてしまう。ブラックホールに飲み込まれた物質や情報はどこに行ってしまうのだろうか?

ブラックホールよりも「ホワイトホール」研究がアツい! パラレルワールドの物質を吐き出し、我々の宇宙も作っていた可能性の画像2画像は「Express」より引用

 一般的な物理学に基づけばひとたびブラックホールに吸い込まれてしまった物質や情報は、海ならぬ宇宙の“藻屑”として跡形もなく消滅してしまうとこれまで考えられてきた。車椅子の物理学者、スティーブン・ホーキング博士も「ホーキング放射(熱的な放射)」によりブラックホールが蒸発するとともに、飲み込まれた情報は失われると以前は考えていた。しかし量子力学の観点では「情報は無くなりもしなければ作られることもない」はずなので、情報は保存されていなければならない。

 そこで、このパラドクスを解決する候補として挙がっているのが、ブラックホールが飲み込んだ物質と情報を放出する「ホワイトホール」の存在である。英紙「Express」(4月20日付)はブラックホールだけではなく、ホワイトホールも研究すべきと提言したうえで、ホワイトホールには2種類あると記している。

■ホワイトホールが宇宙を作った!?

 1つは、ホワイトホールとはブラックホールに他ならず、年老いたブラックホールが飲み込んだ物質と情報を反転して吐き出すというもの。これならば、失われるものが何もないため「情報パラドクス」を回避することができる。

 もう1つは、ブラックホールの出口がホワイトホールであるというもの。入り口があれば、出口があるはずだという単純な発想だが、これが意外と面白い。「多元宇宙論(マルチバース)」の観点から、ホワイトホールが別の宇宙に繋がっている可能性も指摘されており、これを突き詰めると、我々の宇宙そのものがホワイトホールによって形成された可能性も出てくるのだ。つまり、別の宇宙のブラックホールが飲み込んだ物質が、ホワイトホールから放出されることでビッグバンが起こり、この宇宙ができたかもしれないということである。

ブラックホールよりも「ホワイトホール」研究がアツい! パラレルワールドの物質を吐き出し、我々の宇宙も作っていた可能性の画像3画像は「Express」より引用

 無理のある話に聞こえるかもしれないが、実はあのホーキング博士も似たような理論を最近発表したばかりなのだ。先述したように、ホーキング博士はブラックホール内の情報は失われると考えていた。しかし、その後の量子論の発展により、これまで見てきた「ブラックホール情報パラドクス」が明らかになったことで、2015年に自説を修正し、「情報は失われず、パラレルワールドに送られる」と認めたのだ。

 とはいえ、まだまだホワイトホールは物理学界の異端である。だが、ホーキング博士が自説の修正を迫られたように、科学の常識は刻一刻と変更されていくものだ。50年後にはホワイトホール抜きに天文学を語ることは不可能になっているかもしれない。
(編集部)


参考:「Express」、ほか

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