「障害があるとか、奇抜な人生を歩んでいるとか、そういうのがアウトサイダーの条件じゃない。誰もがアウトサイダー・アーティストになり得るといいたい。新著でも、タイトル同様に誰もが『アウトサイドで生きている』という進行形で締めくくっています」
そう語る櫛野の主張はいつも明確だ。待望の新著は、障害を持っているわけではないが世の中から評価されることもないまま表現活動を続ける18人の作家の作品やインタビューが収められている。
「今回の東京で展示している作家たちも含め、彼らがどういう人生を歩んできて、こういう作品が生まれたのかにスポットを当てています。奇人変人を紹介するということではなく、誰もが直面する生き方の選択肢のひとつとして、彼らは自由に生きること、自分の人生を決めること、他に頼ることなく責任を持って生きることを選んだ人たちなんです。でも、それは如何に難しいことなのか。今回の著書は、僕自身もアウトサイダー・アーティストと伴走しながら、アウトサイドで生きていくという決意表明なんです」
そう櫛野は断言する。新著には、鞆の津ミュージアムで話題を呼んだ数々の展示会からクシノテラスとして独立していく過程で出会った選り抜きの作家たちのレポートがぎっしりと詰まっているのだ。