
また別会場となったEXPOは、マルヒのオーナー鴻池綱孝が営むアンティーク雑貨店。店内奥のアトリエスペースに、なお丸のキャラクター人形が棚いっぱいに並べられ、テーブルには制作道具や資料が置かれ、なお丸さんがあたかもさっきまで作品制作を行っていたかのようなインスタレーションになっている。
櫛野はそれぞれの作家について説明してくれた。長恵さんはクリスチャンであると同時に、以前は知的障害者に絵を教えていたという。
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「長さんは僕の師匠みたいな人で、僕が働いていた施設にも来てくれて、2年ほどいっしょに働きました。でも、彼はパーキンソン病になって手が震えるため、職場からは勇退したんです。そのあと、彼自身、熱心に絵を描くようになって、ドラえもんと天使が合体したキャラクターを作って、そればかり描いています。よくみると頭上に十字架が刺さっているのがわかるでしょう。彼の作品は段ボールに描いているところが面白い。それもピザの箱とか、身近にあるものから着想して作品がどんどん進化していく。サービス精神が旺盛な人なんです」
絵を教える立場からアウトサイダー・アーティストへ。櫛野との関係も長の創作への大きな原動力になっているのだろう。