自称アウトサイダー・キュレーター、櫛野展正は広島県福山市のアートスペース『クシノテラス』を拠点としながら、日本におけるアウトサイダー・アートの牽引役として、ますます精力的な活動を展開している。
日本では一般に“アウトサイダー・アート”というと、障害者が手掛けた芸術作品を連想する人が多いだろう。櫛野も最初は社会福祉施設に就職して障害のある人の表現活動をサポートすることからアウトサイダー・アートとかかわるようになった。だが、鞆の津ミュージアムのキュレーターとして頭角を現してからは、死刑囚、ヤンキー、老人、スピリチュアル系など、従来のカテゴリーには収まらない表現者たちから生み出されるイマジネーションや創作への情熱にも“アウトサイダー・アート”ならではの価値と感動があるとアピールし続けている。
ちょうど1年前、櫛野は独立して『クシノテラス』を立ち上げ、そのオープン記念に『極限芸術2~死刑囚は描く~』展を企画している。そして、今年はエロのアウトサイダーに焦点を当て、クシノテラス“快感”1周年記念企画展『性欲スクランブル』が4月30日からスタートする。
東京での初展示となる合同企画展『空想キングダム』(2017年2月25日~3月5日@ギャラリー・マルヒ&EXPO)も好評で、初の単著となる『アウトサイドで生きている』(タバブックス)も発売早々に話題となっている。ますます勢いに乗る櫛野に聞いた。