がんの特効薬といわれる「アンズの種の核／レートリル」研究が禁止された知られざる理由とは？

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■レートリルの研究がFDAによって禁止されていた

　このレートリルという化合物は、アンズの核だけではなく、ナッツ類やリマ豆やクローバーなどの植物には比較的よく含まれている物質で、サプリメントや食品補助栄養素としては見かけることもあるのだが、アメリカでは、がんに効能があると謳うことは禁止されている。

　レートリルは4つの分子から構成されていて、その2つはグルコース、もうひとつはベンズアルデヒド、残りのひとつがシアン化物である。がん細胞は、正常な細胞と異なりエネルギーをグルコースに依存しているために、がん細胞のみがレートリルと反応し、その反応の結果、がん細胞自身は破壊されるというプロセスが、レートリルががん細胞との戦闘能力があるといわれるゆえんなのだが、それ自体が疑わしいともされているのである。

レートリル（Laetrile）の化学式　画像は「Wikipedia」より

　2006年に韓国の慶熙大学校・生理学部で、レートリルのヒトの前立腺癌細胞への作用が確認されたという論文があるが、それ以外公式な医学的な論文は見当たらず、一部の製薬会社がレートリルからビタミンB17を抽出したという話がある程度で、現在は医学的に効果はないといわれている。ビタミンB17も、現在は人体に不可欠な要素ではないという判断で、ビタミンとして分類はされてはいない。

　しかし、ニューヨークの「MSKがんセンター」に在籍していたラルフ・モス博士をはじめ、レートリルががんに対して全く副作用を引き起こさない特効薬の可能性が高いと発言している医師や科学者も少なからずいることも事実である。

　また、1970年代に、このレートリルとがんとの研究が途中であったにもかかわらず、当時のFDA（アメリカ食品医薬局）によって禁止された背景には、巨大製薬会社の利権がからむ陰謀であったという説もあり、レートリルの効能については明らかにされていないともいえるのである。

　現在では、健康食品としてのレートリルの効能の高さは認知されているが、シアン化物を含んでいるという点で危険性を指摘する声も根強く、特に大ヒットしている様子もない。もし、アンズの種の核ががんの特効薬だったらと考えると、まさに夢のような発見ともいえるのだが、その事実はかなりの確率でなさそうである。

参考：「EWAO」、ほか

文＝高夏五道

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