【死刑囚の実像】“不器用すぎる”凶悪殺人者・高橋明彦と会う ― 取材でわかった“まさかの殺人理由”とは?(会津美里町夫婦殺害事件)
■車上生活の中で妻に嘘を重ね……
高橋は元々、東京生まれの東京育ち。高校卒業後は長く警備員として働いており、「小さな警備会社を大きくするのが夢」だったという。だが、いくつかの警備会社を渡り歩く中、給料をもらえないことや、入社前に示された条件と実際の待遇が違っていたことなどがあり、次第に人間関係に疲れていった。そこで田舎暮らしへの憧れもあったことから、妻と一緒に会津若松市に移り住んだという。
ところが会津若松市では、仕事は見つからず、貯金もすぐに底をつく。家賃が払えずにアパートを出ざるをえなくなり、移住から8カ月で妻と一緒に車上生活をするまでに落ちぶれてしまった。そんな中、高橋は妻に「水道会社に就職できた」とその場しのぎの嘘をつき、さらに「就職できた水道会社は給料を払ってくれないが、別の水道会社に就職できた」と嘘の上塗りをしてしまう。その裏では、金を得るために外国為替オプション取引を繰り返すが、うまくいかず、どんどん自分を追い込んでいった。
その挙げ句、高橋は家で暮らすことを切望する妻に対し、こんな途方もない嘘をつく。
「7月26日までに勤務先から住宅購入資金として600万円を借りられることになったよ」
こうして7月26日までにまとまった金を用意せざるをえなくなった高橋はこの日午前5時過ぎ、被害者夫婦の家にペティナイフを持って侵入した――。
■「オレにも男の意地があった」
以上が高橋が事件を起こした経緯だが、私は理解に苦しんだ。まとまった金が必要だとしても、強盗殺人などする必要はなかったのではないかと思えたためだ。
――サラ金に金を借りることなどは考えなかったのですか。
高橋「サラ金はないよね。勤めているところがないんだから、貸してもらえないでしょう」
――では、同じ犯罪をするにしても、振り込め詐欺などは考えなかった?
高橋「そういうことは考えなかったね。まあ、知識があれば、ああいうことをせずに済んだとは思うけど」
――知識?
高橋「生活保護だよ。当時は生活保護をもらえるなんていう知識がなかったからね」
髙橋が事件を起こしたのは、くしくも複数の人気芸人が親族が生活保護を受給していたことでバッシングされていた時期だ。そんな折、生活保護を受給できることを知らずに、人を殺してしまった男がいたわけだ。
高橋「当時は冷静じゃなかった。もっと女房と話し合えば良かったと思うよ」と髙橋は振り返る。なぜ、妻と話し合えなかったのかと聞くと、「オレにも男の意地があったからね……」とつぶやいた。その「男の意地」のために何の罪もない2人の生命が奪われてしまったのだ。
ちなみに髙橋は事件後、妻と離婚し、音沙汰が無い状態になっているとのことだった。
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2024.10.02 20:00心霊【死刑囚の実像】“不器用すぎる”凶悪殺人者・高橋明彦と会う ― 取材でわかった“まさかの殺人理由”とは?(会津美里町夫婦殺害事件)のページです。死刑囚、片岡健、会津美里町夫婦殺害事件、高橋明彦などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで