世界の魚がどんどん小さくなっていることが判明、驚愕のメカニズムとは!? 個体数減少&小型化のダブルパンチで魚食文化滅亡!

 日本人の大好物のひとつ、マグロ。巨大なマグロが並ぶ築地市場のマグロ競りは日本人のみならず、外国人観光客にも大人気だ。だが、もしかすると今後、現在市場に並んでいるような巨大なマグロは希少になるかもしれない。しかもその理由は気候変動だというのだ。サイエンスメディア「Popular Science」が伝えている。

世界の魚がどんどん小さくなっていることが判明、驚愕のメカニズムとは!? 個体数減少&小型化のダブルパンチで魚食文化滅亡!の画像1冷凍マグロのセリの様子。画像は「築地市場」より引用


■小型化の原因とは

 気候変動の影響でマグロのサイズが小さくなるかもしれない――。そんな研究を発表したのは日本財団とカナダのブリティッシュコロンビア大学が共同運営している国際海洋プログラム「ネレウスプログラム」の研究者らだ。実は小さくなる可能性があるのはマグロだけではなく、他の魚類も同様の脅威にさらされているという。気候の変動により海水温の上昇が続いた場合、マグロを含む魚のサイズは20~30%も縮むというのだ。

 なぜ海水温の上昇で魚が小さくなるのか? その理由は海水に含まれる酸素の量にある。酸素のような気体は、温度が低いほど水に溶けやすくなる性質を持っている。南極など、凍りつくような冷たい海が生物に満ち溢れている理由の一つである。だが、海水温が上昇すると海水中に溶け込んでいる酸素の量が減る。そう、魚の小型化の原因は海中の酸素不足である。

 魚は口から海水を吸い、エラで酸素を取り入れている。エラは細長い“くし”の歯が集まったような構造で、効率よく酸素を取り込める仕組みになっている。魚の大きさはエラから取り込める酸素の量に影響を受けるという。海水温の上昇は魚の体自体にも影響を与える。代謝が早くなり、機能を維持するためにはより多くのエネルギー、つまり酸素が必要となるが、暖かくなった海水中では酸素量自体も減ってしまう。酸素不足を補うため、魚は小型化せざるを得ないというわけだ。その影響はマグロなど体の大きな魚ほど大きく、最大で30%ほどサイズが小さくなると予想されるという。

世界の魚がどんどん小さくなっていることが判明、驚愕のメカニズムとは!? 個体数減少&小型化のダブルパンチで魚食文化滅亡!の画像2画像は「ネレウスプログラム」より引用

■漁業への影響は?

 魚のサイズが小さくなれば、当然のことながら漁業にも影響を及ぼすと予測される。研究者らの試算によれば、大気の気温のたった1度の上昇が世界の漁獲量を約340万トンも減らす可能性があるという。恐ろしいことだが、海水温の上昇による魚のサイズ減少はすでに北海の魚で観測されているという。

 ただでさえ資源の減少が問題となっているマグロ。その上、海の中でも大きく成長できなくなってしまったら? マグロ好きには頭の痛い問題である。


参考:「Popular Science」、「Nereus Program」、「Global Change Biology」、ほか

文=吉井いつき

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