パラレルワールドの百科事典『コデックス・セラフィニアヌス』― 奇妙な植物、SEX、医療…異世界の話を“未知の言語”で綴った本の驚愕内容とは?
奇妙でインパクトのあるイラストの数々に圧倒されるが、いずれも精緻に描かれていてシュールレアリスム系のアート作品集だと理解することもできそうな本書。内容は百科事典風に11章に分かれていて、各章のテーマは以下の通りだ。
・第1章:植物相。奇妙な花、“歩く木”など。
・第2章:動物相。馬、カバ、サイ、鳥類などのシュールな動物種。
・第3章:奇妙な二足歩行の生物。
・第4章:物理学と化学に関すると思われるもの。本書の中で最も抽象的で不可解だ。
・第5章:異様な機械と乗り物。
・第6章:文化様式や文化活動に関する探究。生物学、性、各種の先住民、植物の生態、人体に直接移植された工具(ペンやレンチなど)。
・第7章:歴史。歴史上の人物とおぼしき人々(一部は人間であるかどうかさえ不明)の生没年を含む人物データ。また多くの歴史的に(おそらく宗教的にも)重要な出来事や葬儀の習慣などの描写。
・第8章:この異世界の書記体系の歴史。
・第9章:食物、食事作法、衣服の紹介。
・第10章:奇妙なゲーム(カードゲームやボードゲームなど)とアスリート競技。
・第11章:建築全般。
■本当の“作者”は白い猫だった!?
見る者を煙に巻くようなこの『コデックス・セラフィニアヌス』だが、類似のケースとして想起されるものに1912年にイタリアで発見された古文書とされる「ヴォイニッチ手稿(Voynich Manuscript)」がある。このヴォイニッチ手稿もまた何語でもない文字で書かれており解読不可能で、奇妙なイラストが多数挿入されている。シュールな自然科学とアートを収集した百科事典的な著作物という点で『コデックス・セラフィニアヌス』と共通している。
オルタナティブ系オンラインジャーナルの「Disclose.tv」の記事によれば、興味深いことにセラフィーニ氏はヴォイニッチ手稿は意図的に作られた“フェイク本”であると主張しているという。
セラフィーニ氏によれば神聖ローマ皇帝のルドルフ2世(1552-1612)は古文書が好きなことで知られていたが、それにつけ込んだ者が“フェイク本”をでっちあげてそれを本物だとして献上していたケースがあったという。「“でっちあげ言語”というのは特別新しい考えではありません」とセラフィーニ氏は語る。
今年で68歳になるセラフィーニ氏はこの『コデックス・セラフィニアヌス』は、何がしかの意図があって作ったものではなく「ひとつのゲーム」として創作したと説明している。そして最近のインタビューで、本書の執筆中に迷い子の白い猫が部屋に入ってきて、その猫の「テレパシー的な導きによってイラストを描き、言葉を並べた」ことを話している。本当の“作者”はその白い猫だったと述懐しているのである。
1981年の初版発行時にはなかったネット社会で、現在『コデックス・セラフィニアヌス』を語り合うコミュニティがいくつか存在し、セラフィーニ氏はその状況を大変喜んでいるということだ。
「私はブロガーたちのように本書のファンに直接つながりたいと考えています。父親の世代のように戦争でお互いを殺すのではなく、本書はネットワークをつくり上げて結びつくことを選んだ世代のための作品です」(ルイジ・セラフィーニ氏)
『コデックス・セラフィニアヌス』の最新版は2013年にイタリア・リッツォーリ出版社から発売されたもので、現在Amazonでは1万3863円で販売されている。本書は骨董品的な価値も高く、初版本(筆者サイン入り)はすでに5000ドル(約56万円)で取引されているということだ。芸術の秋ということもあるので気になる向きはチェックしてみてはいかがだろうか。
参考:「Disclose.tv」、ほか
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