物体を完全に透明にする技術がガチ実用化へ! レーダーにも映らない最先端技術「メタマテリアル」がスゴい!

 イスラエルの研究チームが物体を目に見えなくする新技術を開発したと発表した。この技術を使えば、ドラえもんやハリー・ポッターシリーズに登場する透明マントや攻殻機動隊の光学迷彩が実現するという。英「Express」が報じている。

物体を完全に透明にする技術がガチ実用化へ! レーダーにも映らない最先端技術「メタマテリアル」がスゴい!の画像1画像は「Express」より引用

■透明マントにまた一歩

 透明マント実現につながる新たな発見をしたのは、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学の電気光学研究チームのアリーナ・カラブチェフスキー氏(Alina Karabchevsky)らだ。透明マントを実現させるにはメタマテリアルという最新の技術が必要だ。この分野は世界各国で熾烈な開発レースが行われており、以前にもアメリカやカナダで「透明マント一部成功」の報道があった。しかし、そのサイズは非常に小さく、とても実用的なものではなかった。

 今回発表されたのは「Siナノスペーサーを用いた複合プラズモン導波路」という次世代技術に基づく新理論である。カラブチェフスキー氏によると、この技術を応用すれば「カーペットで覆い隠すように」様々な物質を見えなくすることが可能だという。論文は今月21日に学術誌「Scientific Reports」に掲載される。

物体を完全に透明にする技術がガチ実用化へ! レーダーにも映らない最先端技術「メタマテリアル」がスゴい!の画像2画像は「Scientific Reports」より引用

 

■透明マントを実現させる「メタマテリアル」とは?

 透明マントは2002年に英ロンドン大学のジョン・ペンドリー氏が発表した「もし屈折率が負の物質があれば、無限に小さなものを光で観察できる」という奇妙な理論に基づいている。しかし、屈折率が負の物質は自然界には存在しない。そこで、登場するのが新技術「メタマテリアル」である。

 メタマテリアルとは性質を人工的に変化させた物質のことで、ナノスケールの微細な加工により、光を含む電磁波への応答を自在に変える最新技術である。空気中を進んできた光は水やガラスなどに入り込むと進行方向を変える。いわゆる光の屈折であるが、このときに波長より小さな物質、例えば小さなコイルが物質に含まれていると、コイルは光の磁場の波を打ち消すような磁場を生み出して光の屈折率を変化させる。このコイルの素材や構造を最適化することで、人為的に素材の光学特性を自由自在に変えられるのだ。

 カラブチェフスキー氏らの新発明もメタマテリアルの一種であり、光を散乱させることで目に見えなくするという特性を持つ。今後試作品を作り、理論の正しさの証明と実用化に向けた実験を行っていくという。

物体を完全に透明にする技術がガチ実用化へ! レーダーにも映らない最先端技術「メタマテリアル」がスゴい!の画像3アリーナ・カラブチェフスキー氏。画像は「alinakarabchevsky.com」より引用

 メタマテリアル研究が進めば、映画「プレデター」の宇宙人のように目に見えない特殊部隊なども実現するかもしれない。さらには人間の目だけでなく、赤外線センサーやレーダーからも不可視にすることが可能になるという。もちろん、メタマテリアルは軍事以外の分野でも大いに期待されている。例えば、本来なら可視光では観察できない微小な物体でも観察できる光学顕微鏡、指先ほどの小さなキューブに大容量のデータを書き込める光メモリーといったものが実現すると考えられている。今後もメタマテリアル研究から目が離せない。


参考:「Express」、「Times of Israel」、「Scientific Reports」、ほか

文=吉井いつき

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