川崎の地獄は日本の未来か? ディストピアでもがく不良たちのヒリヒリする生き様『ルポ 川崎』磯部涼インタビュー
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気鋭の音楽ライター・磯部涼が放つ『ルポ 川崎』(サイゾー)の執筆裏話を著者本人がとことん語り尽くすスペシャルインタビュー! 前回たっぷりお届けした川崎で生きる不良たちの激ヤバ話に続いて、後編は、多人種化する日本の未来やスラムツーリズム、川崎という街のディストピア感について聞く。
★インタビュー前編はコチラ!★
■多文化共生、高齢化、貧困…… 日本の未来がここに
――本書の中で、川崎は日本の未来ではないかと語られていますね。
磯部涼(以下、磯部) 川崎市の中でも特に川崎区に未来を見ているわけですが、それについては、2点ほど思うことがあります。
まず、いま日本では“外国人”が増えていますよね。それは、国として力を入れて呼び寄せている観光客であったり、国としては認めていないが様々な形でやってきている移民であったりする。後者に関して川崎区には長い歴史があります。戦前より、臨海部の工場地帯で働くために朝鮮半島から多くの人々が渡ってきた。彼らは日本人が住まない湿地帯のような環境の悪い場所にバラック小屋を建ててコミュニティを形成した。本書の舞台のひとつとなっている池上町は、かつて“朝鮮部落”と呼ばれていましたが、まるで迷路のようなつくりになっているのはそのような成り立ちの名残りです。
そして、戦後も「あそこに行けば仲間がいる」「あそこに行けば仕事がある」ということで、在日コリアンが集まってくる。やはり、本書の重要な舞台である桜本に建つ、川崎の在日韓国人の拠り所となってきた川崎教会の初代担任牧師=李仁夏(イ・インハ)さん――「池上コインランドリー」という名曲で知られるラッパー、イン・ハの祖父――は、桜本、大島、浜町、池上町にかかるエリアを“おおひん地区”と命名しましたが、その辺りが在日コリアンの集住地域です。また、80年代にはフィリピン人の出稼ぎブームが起こり、桜本でも同国の人々が増えます。さらに、近年はブラジル人やペルー人もやってきて、まさに多文化地域の様相を呈しています。
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そういった街を、2015年から2016年にかけていわゆるヘイト・デモが狙い撃ちにし、地元の人々やカウンターと呼ばれる人々が抗した様子は『ルポ川崎』でも描いていますが、反面、川崎区では“日本人化”と“混血化”が同時に進みつつあります。外国にルーツを持つ子供達の支援を行っている桜本のコミュニティ・センター<ふれあい館>の職員・鈴木健さんは、本書で以下のように語っています。「在日コリアンにしても子どもたちは、大体、四世だし、最近は六世が生まれていると聞きます。ただ、日本人と結婚する人が多いから、全体的には、国籍や名前は日本のものになっていく。一方で、依然、朝鮮人というアイデンティティを持つ人もいるし、フィリピン人と結婚する人もいて、見た目でフィリピン人だと思われているけど、国籍は韓国、というケースもちらほらあったり」。
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