150年前の「緑色の小さな手のミイラ」の謎がついに解明される! “奇跡の愛情”が時空を超えて判明!?(最新研究)
■ミイラ化の原因は親の愛!?
結論からいえば、赤ちゃんの手をミイラ化し、緑色に変色させたのは小さな銅貨であった。
考古学的には墓地で発掘された骨が緑色に変色しているのはそれほど珍しいことではない。埋葬時に遺体に添えられた銅や青銅のアクセサリーは、時間とともに骨を緑色に変色させるのだ。分析の結果、このミイラからも平均より数百倍以上高い濃度の銅が検出された。銅による抗菌作用が赤ちゃんの右手を腐敗から保護してミイラ化させ、骨を緑色に変色させたのである。
では、赤ちゃんとともに埋められていた銅製の物体とは一体何だったのか? バラーシュ氏らは近くの博物館に保管されていた陶器のツボと、腐食した銅製のコインを発見した。それはミイラとともに発見されたもので、科学者たちは赤ちゃんは右手に銅貨を握り、身を縮めて手足を折り曲げた姿勢でツボに入れられて埋葬されたと考えた。その結果、銅貨の触れていた右手だけがミイラになり、銅貨に近い位置にあった手足の骨が緑色になったと結論付けたのである。バラーシュ氏らはこの研究が銅によるミイラ化を詳細に検討した最初のケースであると述べている。
これによりミイラ化の謎は解明された。だが同時に、もう一つの謎が生まれた。なぜ赤ちゃんはコインを握っていたのか?
発見された銅貨は「クロイツァー」と呼ばれる1858〜1862年に流通していたコインであった。遺体とともにコインを埋葬する風習は古代より世界各地に存在し、現代の日本でも「三途の川の渡し賃」として棺に紙幣(冥銭)を入れる習慣が残っている。しかし、クロイツァーが使用されていた時期、この地域には埋葬時にコインを添える習慣はなかったのである。
この謎に対しバラーシュ氏らは、ミイラ化した赤ちゃんがキリスト教の洗礼を受けていなかったのではないかと推測している。教派によって諸説あるが、一般にキリスト教では洗礼を受けずに死ぬと天国には入れないとされている。洗礼を受けずに死んだ我が子の救済を願う親心から、その手に銅貨を握らせて埋葬したのではないかというのである。
小さなミイラの謎を解いた先に示されたのは、いつの世も変わらぬ親心であった。なお、このミイラと遺骨は現在ハンガリーのモーラ・フェレンツ博物館で展示中とのことである。
(編集部)
参考:「Daily Mail」「New York Times」「Archaeological and Anthropological Sciences」ほか
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2024.10.02 20:00心霊150年前の「緑色の小さな手のミイラ」の謎がついに解明される! “奇跡の愛情”が時空を超えて判明!?(最新研究)のページです。ミイラ、ハンガリー、最新研究、銅などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで