ボディサスペンション最前線をケロッピー前田が解説! 吊る、縛る、全裸、貫通、民族、儀式…!

――えええっ、それ、びっくりじゃないですか! 

ケロッピー「ステラークさんが面白いのは、クレイジーで過激だけど、どこかユーモラスなんですよ。それも子供でもわかる面白さ。エレベーターに乗ろうとしたら人が吊られてたり、腕に耳があったり、国籍や文化的な背景も超えて、誰でもびっくりしちゃうじゃないですか。そこに、身体改造カルチャーが持つパワーを感じます」

Stelarc_04_Street-Suspension.jpgStreet Suspension (c) Stelarc

――国際会議って、他にどんなことをするですか?

ケロッピー「現在、世界にはサスペンションチームといわれるものが30近くあります。この会議は、それらのメンバーを主な参加者とし、専門的なレクチャーやパフォーマンス披露、交流パーティなどが3日間続きます」

――レクチャーって、興味ありますね。どんな話をしているんですか?

ケロッピー「数々のレクチャーのなかでも最も刺激的だったのが、ポール・キングによるサスペンションの民族起源の調査報告でした。とにかく驚かされたのは、インド南部に現存する儀式的なボディサスペンションのお祭り。他の人が真似できないような苦行に挑んで信心深さを見せようというわけなんです。具体的には、白昼の街中、トラックにくくりつけた丸太に数人の若者たちが吊り下げられた状態で練り歩いています。昼間から夜までそのまま何時間も続くと言いますから、身体的にはキツイでしょうね」

Paul_King_collection_01.jpgタイプーヤン祭り Paul King collection

――見るからに拷問みたいじゃないですか!

ケロッピー「これはヒンズー教のタイプーヤン祭りの中で行われているもので、一種の通過儀礼であり、街の若者たちが毎年順々にそれを体験する習わしとなっているそうです。ところで、ヒンズー教のお祭りでは、カバディと呼ばれる苦行がよく行われています。これは年齢にかかわらずたくさんの人たちが挑戦します。頬に金属棒を貫通したり、全身に錘付き針を数百刺したり、身体に刺した複数の金属棒で飾りやぐらを持ち上げたりというのもです。あと、実はインドだけじゃなくて、アメリカ先住民の間でもサスペンションが行われていました」

Paul_King_collection_03.jpgヒンズー教の祭り、全身に1000本もの針を刺す苦行「カバディ」Paul King collection

――インディアンの儀式!?

ケロッピー「アメリカ先住民については、18世紀に画家ジョージ・カトリンがマンダン族の『オ・キー・パ』の儀式を記録しています。他の数々の儀式とひとまとめに『サンダンス』と総称されるときもあります。サンダンスというは『雨乞い』みたいなニュアンスだと思います。このようなインディアンの儀式を現代的に再現して有名になったのがファキール・ムサファーだったんです」

Paul_King_collection_04.jpgマンダン族の「オーキーパ」Paul King collection

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