歌謡漫才で大ブレイク中の芸人「きつね」インタビュー! 「ジャルジャルや、ザ・ドリフターズに影響され…」

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――テレビに出るチャンスが増えているからこそ、そういう悩みも出てくるわけですね。注目されるようになった最初のきっかけは何だったんですか?

大津:最初に出させていただいたのは『バナナマンの爆笑ドラゴン』(NHK)です。反響が大きかったのはやっぱり年末の『あらびき団』(TBS系)と年始の『ガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)ですね。


――それらの番組でも披露された「歌謡漫才」が話題になっていますが、このネタはどうやって生まれたんですか?

大津:僕がパチンコで借金を作りすぎて首が回らない時期がありまして。バイトに専念しないといけなくて、コンビでライブに出られなくなってしまったんですよ。それで、相方の淡路がその間にダンスとDJを始めたんです。その後で、そのダンスとDJを生かしたネタをやったらいいんじゃないかっていうことで、このネタができました。

淡路:このネタで『爆笑ドラゴン』に出ることになったんですけど、そのときの僕らのチームのリーダーがナイツさんで。このネタが浅草に出ているような芸人さんを馬鹿にしているんじゃないか、っていうことで入れてもらったんですね。

大津:テレビに呼ばれるときにはだいたいそれを言われますね。『内村てらす』(日本テレビ系)に出たときにも、平成ノブシコブシの徳井さんが「お笑いを馬鹿にしている」みたいな感じで呼んでくださって。『ネタパレ』(フジテレビ系)のときのバカリズムさんのコメントもたしかそういう感じだったと思います。


――やっぱりこのネタはお笑いを馬鹿にしてるんですか?

大津:いや、してないですよ!(笑)先輩方のことは死ぬほどリスペクトしてます。ただ、もともとお笑いそのものを扱うような「メタ」なネタが好きなんですよね。ジャルジャルさんとかがすごく好きなんですよ。ジャルジャルさんのネタで僕がいちばん感銘を受けたのが「あんまりよくない歌」っていう。

――ああ、分かります。

大津:あれが面白くて、すごいセンセーショナルだったんですけど、そういうのに感じるところはありますね。あと、ザ・ドリフターズさんが好きだったので、ちょっとレトロな感じの衣装にしているのはその影響もあるかもしれません。


――淡路さんは、なぜ大津さんが活動できなかった時期にダンスとDJを始めようと思ったんですか?

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淡路:もともとダンスもDJも好きでしたし、お笑いに生かせればいいかな、っていうのもありました。でも、やっているうちに、本気でやっている人たちへのリスペクトが強くなるんですよね。僕のこのレベルで人前に立つのはダンスへの冒涜かもしれない、って思ったりすることもあります。

大津:ネタをやった後に、ネタの出来は悪くないはずなのにこいつだけが落ち込んでるときがあるんですよ。それは、ダンスが上手くできなかったからなんです。

淡路:ちゃんとできないと本当に悔しいんですよ。僕がそういうのを好きなのにも理由があって。お笑いを真面目に語るみたいで嫌なんですけど、笑いの根幹ってよく言われる「緊張と緩和」みたいなものじゃないですか。そこに技術力があるネタが僕は大好きなんですよ。例えば、ダンスがすごい上手いっていう緊張を作っておいて、そこから崩す、とか。だから歌ネタも好きなんです。


――確かに、歌やダンスが上手いからこそ面白い、というタイプのネタはありますよね。

淡路:だから、『ゴッドタン』(テレビ東京)の「芸人マジ歌選手権」とか、ほんと大好きで。(フットボールアワーの)後藤さんが、歌詞はめちゃめちゃダサいけどギターは上手い、っていうのとか。あれがエアーだったら全然違うと思うんですよね。


――後藤さんって実はギター上手いらしいですね。

淡路:はい、めちゃくちゃ上手いんですよ。あと、『めちゃイケ』世代なので、岡村(隆史)さんの「オファーシリーズ」とか。岡村さんが何かに挑戦してバシッとやりきる、あの感じがすごい格好いいなあと思っています。
(取材・文=ラリー遠田/お笑い評論家)

きつねプロフィール
大津広次(おおつ ひろつぐ)28歳 https://twitter.com/yo_guru_taro
淡路幸誠(あわじ こうせい)28歳 https://twitter.com/maisonawawa
昭和歌謡などを現代風にアレンジした歌謡漫才でブレイク。大津がウクレレを弾き、淡路がMacBookに接続したサンプラーをAbleton Liveでコントロールしてエレクトロニック・ダンス・ミュージックでよく使われているフレーズや効果音を出すなどするネタを演じ、この一連の漫才は「パリピ漫才」とも言われ人気を博している。

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