脱北作家が語る「金正恩の生い立ちと本性」が悲惨で禍々しすぎる ! 人妻不倫・隠し子・恨み…集団餓死事件も(インタビュー)

■金正恩の影武者は14人いる!?

――これも陰謀論になりますが、「金正恩に影武者が14人いる」という噂があるんです。「2012年以来、実は本物は表に出てきていない」とも言われています。南北会談のときも本人ですか?


金氏 南北会談は間違いなく本人ですよ。そういう陰謀論は結構ありますよね。「金正日には影武者がいた」とかも言われていましたし。この本にも書いていますけれど、金日成や金正日は、自身の映画を作るために自分そっくりの人をわざわざスカウトして俳優にしたという話は確かにあります。


――整形までさせたみたいですね。

金氏 それは本当ですよ。外国から一流の整形外科医を呼び寄せ、瓜二つになるように手術を受けさせたそうです。金日成を演じる俳優は「一号俳優」と言うんです。「一号俳優」を使った金日成の映画は、実際に公開されました。金正日にもそういった映画を作る計画はありましたが、取りやめになりましたね。

 ただ、金正日役の俳優としてスカウトされた人間は存在するんですよ。晩年、金正日は糖尿病を患った病体だったので、公式な会議で長時間座っているのは厳しかったんです。だから、会議で金正日の代わりに、そっくりな俳優を座らしておいたという噂はあります。それに、彼が会議に出席しなかったとなると、国内に潜む反乱派が旗を掲げる恐れもありますからね。


■金正恩は異常な性格?

脱北作家が語る「金正恩の生い立ちと本性」が悲惨で禍々しすぎる ! 人妻不倫・隠し子・恨み…集団餓死事件も(インタビュー)の画像7撮影=編集部

――北朝鮮の最高指導者は、初代・金日成、第2代・金正日と続いて、現在、第3代は金正恩です。彼は、どういった人物だと思いますか?

金氏 今回の本にも少しだけ書きましたが、金正恩さんのことは把握できないので、はっきりとはわかりませんね。ただ、個人的に思うのは、たぶん性格は普通じゃないと思う。


――異常だということですか?

金氏 それは、彼の生い立ちを見ればわかります。金正恩は、第2代・金正日の三男として生まれました。彼の母親である高英姫(コ・ヨンヒ)は、大阪の鶴橋出身の在日です。

 金正日は、女性関係がいつも乱れていて、若い頃、自分より5つも6つも年上の人妻と不倫関係になった。そして、略奪した人妻から生まれたのが長男の金正男(キム・ジョンナム)です。

 でも、それからも金正日は、女優と不倫したり女遊びをやめなかった。そして、とうとう金日成が仲人を立てて彼に結婚を強いたんです。金正日は反発したのですが、妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)になだめられて正妻となる金英淑(キム・ヨンスク)と結婚をした。正妻の間には、娘が2人生まれたんです。でも、金正日は正妻には寄り付かずに、踊り子だった高英姫との間に子ども3人(次男:正哲、三男:正恩、三女:与正)をもうけたのです。金日成にバレたらどんな恐ろしいことになるかわからないので、金正日は高英姫の間にできた子どもたちの存在を隠していました。彼らを海辺の別荘にひっそりと隠して生活させたんです。

 そこで金正日は、在日である高英姫のことを思って、「金正日の料理人」として知られる藤本健二さんを呼んで一緒に住まわせて寿司を食べさせた。隠れ住んでいたのですから、金正恩やその兄妹も肩身の狭い思いをしていたはずです。


――つまり、「金正恩はこの世に存在していない」ということにしていたんですね。

金氏 実態すら知らせてなかった。金正日がみんな隠匿してしまったんですよ。だから、当時の幹部たちは、女房でも妾でもない女の子どもである金正恩を差別して馬鹿にしていたと思います。やがて、国内の誰かに告げ口されるのを恐れて、金正日は彼らをヨーロッパに留学させましたよね。そういった複雑な経歴からすると、今、王座についた金正恩は、「以前俺をバカにした人間は粛清する!」という考えになるのは当然だと思いますよ。


――では、自分の腹違いの兄であった金正男を殺害したのはやっぱり金正恩なんでしょうか?

金氏 金正恩が実際に「殺せ」と言わなくても、側近のやつらが気を利かせて、危険だと判断した人物を暗殺した可能性はあると思います。だから、自分の叔父である張成沢(チャン・ソンテク)を死刑にしたのもそうでしょう。

 たとえば、金正男がメディアに接触している様子を見て、金正恩が彼を疎ましく感じる発言をしていたとします。すると、それを横で聞いていた側近が「じゃあ殺ってしまおう」となったのかもしれません。証拠はないんですが、成り行きからするとそうだと思いますね。


■金正男はいつもひとりぼっちだった

――「生前の金正男をホテルで見かけたことがある」と本書に書かれていましたよね。

金氏 平壌にある近代的な高級ホテル「高麗ホテル」でよく見かけました。小柄で親父の金正日そっくりでしたよ。コーヒーショップの片隅や地下のスナックのカウンターで、いつも1人で寂しく座っていました。本当にいつも1人で、誰かと一緒にいたところを見たことがありません。

 だから、私の正男の印象は「ひとりぼっち」というものでした。我々からすると、北朝鮮ロイヤルファミリーの金一族もやっぱり人間なんですよね。彼らは一見すると自由に見えます。でも、ある意味、閉ざされた国にいるので本当の自由はありえない。それに、下手をするといつ殺されるかもわからない人たちでもあるんです。正男もそうですが、かわいそうな人たちなのかもしれません。


 金王朝の独裁体制によって翻弄されてきた北朝鮮という国の事実が、金氏の話から垣間見えた。北朝鮮の体制が、建国の父・金日成の死とヨーロッパの社会主義国家が崩壊したことにより、今、少しずつ資本主義寄りに移行しているようにも思える。

 複雑な生い立ちの金正恩が若き革命家となるか? 世界で最も恐ろしい独裁者になるのか? 我々も注意深く見守っていかなければいけないだろう。

 直撃インタビュー第2回では、金氏に北朝鮮の都市伝説や心霊など、TOCANAならではの質問にも答えていただく。
(取材・文=白神じゅりこ)

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■プロフィール 金柱聖(キム・ジュソン)
関西生まれ。韓国小説家協会会員。1970年代に朝鮮総連幹部だった祖父母と共に北朝鮮に帰還。同国の師範大学を卒業後、大学講師を経て、朝鮮文学創作社(作家同盟)、国家科学院情報科学通報室などに勤務。2009年に脱北後、韓国サイバー外国語大学日本語学課卒業、北韓大学院大学校社会文化統一修士課程修了。元北韓亡命作家センター事務局長であり、現在は社団法人「学んで分ち合う虹」の理事をしながら、脱北した青少年たちの支援活動、またテレビ、ラジオなどのメディアへ出演も行っている。近年では、日本でも北朝鮮関連のニュースにコメントを寄せるなど、活動の幅を広げている。

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