「北朝鮮は超能力少年たちを拉致していた」脱北作家・金柱聖が激白! 北の幽霊、占い、神童…オカルト国家の実態とは?

 4月に『跳べない蛙 北朝鮮「洗脳文学」の実体』を上梓した作家・金柱聖(キム・ジュソン)氏は、関西生まれの在日3世である。多感な少年時代に「夢の楽園」とされた北朝鮮に祖父母と渡る。しかし、そこは思い描いていた楽園からは程遠い地獄であった。北朝鮮では、組織生活や労働を強要され、集団に従属しなければならない個人の自由などまったくない極貧生活を過ごさなければならなかったのである。祖父母を亡くした後、北朝鮮で苦労して1人で生きてきた金氏。やがて、金王朝を讃え、人民を文学で洗脳する「洗脳文学」作家として活動することになった。

 その後、脱北し現在は韓国に在住。現在も作家として北朝鮮の実情を伝えている。そんな脱北作家・金氏の直撃インタビュー第1回では、北朝鮮の独裁政権を牛耳る金ファミリーの謎や、北朝鮮の国家の知られざる実情を語ってもらった。

 インタビュー第2回では、残酷な公開処刑の実態などを金氏に語ってもらう。

インタビュー第1回はコチラ


■金日成のオカルト話

「北朝鮮は超能力少年たちを拉致していた」脱北作家・金柱聖が激白! 北の幽霊、占い、神童…オカルト国家の実態とは?の画像2撮影=編集部

――北朝鮮では、都市伝説や幽霊などといったオカルト系の話はあるんでしょうか?

(金 柱聖氏、以下、金氏) 実はそういった話は北朝鮮でも結構あるんですよ。北朝鮮は情報共有の手段が遮断されているので、「人の口から出たものが1日に千里を走る」というぐらい噂話が発展している国なのです。

 それと、北朝鮮では基本的に、迷信というのは不法で重犯罪視されています。もちろん、一般の人民が死んで幽霊を見たとかであれば「ウソつけ!」という感じで済むんですが、たとえば、党幹部が亡くなってその幽霊が出たというような話になると駄目なんです。


――オカルトに政治的な要素や思想的なものが絡むと、不法としてみなされやすいんでしょうね。

金氏 そうですね。でも、金日成が亡くなった後は、国全体がオカルト化しました。とはいえ、「金日成の幽霊が出た」という表現はしないんです。金日成が死んだ日に「雷が鳴って雨が降った」「空に二重の虹が現れた」というような不思議な自然現象として表現するのです。

 たとえば、金日成の銅像の周りに鳥が群がってそこを離れない。それを見た北朝鮮の当局は「見ろ! 鳥も金日成さまがお亡くなりになったことを悲しんで銅像のそばを離れない」と人民に対して言うのです。

 こんな話しもありました。金日成が亡くなる前、妙香山にある別荘に夜間、車で移動していたのです。すると、運転手が急ブレーキを踏んで、いきなり車が止まったらしい。金日成が「どうしたんだ?」と運転手に尋ねると「目の前に白い大蛇が見えます」と答えた。金日成は、「獣だから通り過ぎるのを待て」と言って、蛇が通り過ぎるのを待ったんです。だから、「金日成が死ぬ前に白い蛇が出た」というような、金日成の死に関しての美談を当局が人民たちに吹き込むこともありました。


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