魚は犬猫より頭が良い!? 熱帯魚が鏡を使った自己認知テストに合格、科学界に衝撃広がる

 観賞魚に分類される美しい魚たちがいるが、彼らは自分の美しさを知っているのだろうか? 最新の研究では、魚が鏡に映る自分の姿を自分と認識しているのかどうかが検証されている。


■鏡に映った自分がわかる「鏡像自己認知テスト」とは?

 動物に鏡を見せるとどうなるのか? 例えばチンパンジーなどの場合は、鏡に映った自分の姿を見て最初は脅威を感じて怯えたり威嚇したりするという。しかし、次第に鏡を興味深く眺めるようになり、まさに人間が身だしなみを整えているかのように鏡に映った自分の姿を見ながら身づくろいをするようになるという。チンパンジーの行動の変化は、鏡の中の生き物が自分であると認識した証しであると考えられている。

 動物に鏡を見せるこうした実験は、別名“ミラーテスト”とも呼ばれる鏡像自己認知テスト(mirror self-recognition test、MSR)で、1970年代からさまざまな動物を対象に検証が行われている。これまでに“鏡像”が自分であると理解できる動物にはチンパンジーのほかにもボノボ、オランウータン、生後18カ月前後の人間、バンドウイルカ、シャチ、オニイトマキエイ(マンタ)、アジアゾウ、鳥類のカササギなどである。

魚は犬猫より頭が良い!? 熱帯魚が鏡を使った自己認知テストに合格、科学界に衝撃広がるの画像1ホンソメワケベラ 画像は「Wikipedia」より

 そして大阪市立大学の研究チームが注目したのは。別名“掃除魚”とも呼ばれるきわめて良好な視力をもったホンソメワケベラという小さく美しい熱帯魚である。ホンソメワケベラはほかの魚の体表についた寄生虫や粘液を素早く察知して食べてくれるという、献身的ともいえる習性を持っている。

魚は犬猫より頭が良い!? 熱帯魚が鏡を使った自己認知テストに合格、科学界に衝撃広がるの画像2画像は「Wikipedia」より

 こうした実に“目ざとい”習性を持っているホンソメワケベラが鏡を見せられた場合、いったいどんな反応を示すのか?

■ホンソメワケベラがミラーテストに合格

 ホンソメワケベラにも縄張りがあり、自分のテリトリー内でほかの魚の寄生虫を取って食べている。

 研究チームが鏡のついた水槽にホンソメワケベラを1匹入れたところ、鏡に映った自分の姿を最初は敵と認識して攻撃したという。これは攻撃的な行動ではあるが、“部外者”を排除しようとする意味においてソーシャルな反応にあたる。そしてこの反応を見せることが、鏡像自己認知テストにおいて第1段階をパスしたことになる。

 しかしこの反応は長くは続かず、相手に敵意がないと理解したホンソメワケベラは自分の“鏡像”を詳しく調べはじめ(第2段階)、徐々にフレンドリーになり鏡の前で一緒に踊ることさえしたという(第3段階)。

魚は犬猫より頭が良い!? 熱帯魚が鏡を使った自己認知テストに合格、科学界に衝撃広がるの画像3画像は「Wikipedia」より

 最後の第4段階で、この“鏡像”が自分であることを理解していることが証明されることになる。そこで研究チームは、色のついたゼリー状の粘着物をホンソメワケベラの頭部に付着させて水槽を泳がせた。“鏡像”をほかの魚だと見なしていれば、その付着物を取ってあげようとするいつもの行為に及ぶかもしれない。

 しかし、このホンソメワケベラは鏡の前でしばらく“固まって”しまったという。頭についた付着物をつぶさに観察した後、水槽の中の物に頭をこすりつけて付着物をこそげ落とそうとする行動に出る個体もあったという。これは付着物が自分の頭についていることを認識しているからこその行動である。こうしてこのホンソメワケベラは鏡像自己認知テストにおいて最後の第4段階もパスすることになった。

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