「プラシーボ効果」遂に“治療”として確立へ、メカニズムが実験で判明!関連DNA「COMT」も発見、ハーバード大発表!
また、医者と患者の信頼関係がプラシーボの効果をあげる作用があることも実験で判明したという。
IBSの患者を3つに分け、1つ目のグループには本物の鍼師だが、ハリを刺さない偽物の治療、2つ目のグループには偽物の鍼師による患者とのコミュニケーションに重点を置いた入念な治療を施し、3つ目のグループにはまったく治療を施さなかった。その結果、2つ目のグループのIBS患者が最も症状に改善が見られたそうだ。
一方、プラシーボは決して“主観的な”効果だけではないことも判明している。カプチャック教授らが行った2012年の研究では、ドーパミンに作用しているCOMTと呼ばれる遺伝子がプラシーボに関係していると判明。プラシーボに効果があると人とそうでない人との違いも、COMTへの反応の違いによることが分かっている。
これでプラシーボの生化学的な基礎が判明したわけだが、カプチャック教授にとってこの結果は好ましくもあり、同時に好ましくもないものだった。COMTとプラシーボの関連が明らかになったことで、プラシーボを科学として取り扱う道が開けた一方、こうした量的な研究への還元はプラシーボを別のものに変えてしまい、「ルーティン化されたケア」を生み出す危険があるからだという。
「私は科学を愛していません。ただ患者を癒す方法を知りたいのです」(カプチャック教授)
カプチャック教授は、治療の中心には患者と医者の相互関係があると信じており、効果的な治療として、ケアの在り方を質的に変えたいと願っているのだ。さらに、教授によれば、これまでのプラシーボ実験の結果から、COMTで全てを説明することは不可能であり、身体化認知(embodied cognition)という無意識の認知作用が働いている可能性があると指摘している。無意識のシグナルが体中に送られ、その結果として症状を和らげる化学物質が放出されるようになるというのだ。
まだこのことは実証されていないが、「異なる条件においてプラシーボの効果を示す十分な研究結果が得られれば、医学界を説得できるものと思います」とカプチャック教授は期待を寄せている。とはいえ、“科学的な実証”が、「ルーティン化されたケア」を生み出す可能性はどこまでもあるだろう。カプチャック教授はこの苦境をどうやって乗り越えるのだろうか? また、カプチャック博士は考慮に入れていないようだが、患者の身体に手をかざして治療するレイキ療法も一種のプラシーボとして見ることも可能だろう。現に米ハーバード大学のナタリー・トレント博士は、レイキ療法を科学的に研究している。こちらも含めて、今後の研究に期待したい。
(編集部)
参考:「The New York Times」、「The Guardian」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「プラシーボ効果」遂に“治療”として確立へ、メカニズムが実験で判明!関連DNA「COMT」も発見、ハーバード大発表!のページです。医療、医学、プラシーボ、偽薬、メスマーなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで