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無職・うつ病歴10年以上・47歳の男が、伝説の映画監督原一男の「映画本製作」に50万円出資！その理由を聞いた

2018.11.27 20:00

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撮影後の記念写真

──西田さんご自身のこともお聞かせください。「50万円もポンと出せる人ってどんな人？」と気になります。お金持ちなのでしょうか？

西田　ええ、お金には困っていません……なんて言ってみたいですよ！（汗）　うつ病歴10年以上、47歳、無職、数年前から障害年金生活、障害者手帳持ち、都営住宅、車無し、友達もいない……。50万円払ったらほとんど貯金残高0の極貧生活。スターバックスなんて高くて行けません。いっつもマックで100円コーヒーすすってます。よく、テレビや雑誌で「老後の資金には○○○○万円は必要です」なんて聞きますが、無理無理（笑）。病気とお金と常にギリギリの生活なのです。とほほ。

──石丸さんは「西田さんはサブカルチャーの理解者で応援者」ともおっしゃっていました。

西田　テレビも面白いですが、規制が厳しいじゃないですか。ところが、サブカルのイベントに行くとリミッターがほぼカットされているので、テレビでは絶対できないこと、ここだけの話ですよなんて裏話も、なんでもありなんです。決してテレビには出ないが、面白いタレントさんがゴロゴロしています。宝の山みたいなものです。面白い人やイベントも挙げればきりがありません。「下-1グランプリ」「ローイベ」「こわれ者の祭典」「首都神話」などなど、知っていますか？　と言いたいです。知名度は低くとも、自分のやりたいことやって、お客さんをこれでもかと楽しませる。そんな人たちを応援していきたいですね。私はサブカル初心者ですが、その世界をもっと覗いてみたいと思っています。

──今回の原監督の撮影以外でクラウドファンディングに協力なさったことはありますか？

西田　横須賀歌麻呂さんの映画『YARIMAN HUNTER（ヤリマンハンター）』のクラウドファンディングで、出資額は３万円です。この映画、横須賀さんが中心になって、サブカル関係者がこれでもかというくらい出演してるので期待大なのです。

──今後、クラウドファンディングに出資するとしたら、「こういうリターンがあると嬉しい」というものはありますか？

西田　物ではなくて特別な体験や経験ができるリターンなんか面白いかなと思いますね。みんなと同じじゃつまらないじゃないですか。「原監督と一緒にスカイダイビング」なんてあったら飛びつきますよ（笑）。

　金持ちの道楽でのクラウドファンディング出資かと思いきや、何と苦しい状況の中からの出資だった！　西田さんからは「全国の鬱の人に、鬱でもこんなことできるんですよ～と発信できれば嬉しいです」という言葉も聞けたが、西田さんが仕掛けた今回の撮影にはクラウドファンディングの新しい可能性も感じられた。熱意と愛があれば一人のアマチュアが多数のプロを動かすこともできるのだ！
（取材・文＝武富元太郎）

『タブーこそを撃て！原一男と疾走する映画（ムーヴィー）たち』

「(エキセントリックな)表現者」から「生活者」へ――。
『さようならCP』(72)『極私的エロス・恋歌1974』(74)『ゆきゆきて、神軍』(87)『全身小説家』(94)、そして24年ぶりとなる新作新作ドキュメンタリー『ニッポン国VS泉南石綿村』(17)……。圧倒的に面白い鬼才の疾走を追って、その魅力の「すべて」に迫る。原一男映画本の、唯一にして決定版！　あなたのからだを神軍たちが、駆け抜けます。

■内容
原一男監督自身へのロングインタビュー、
作家・辺見庸が語る原一男映画のすべて、
庵野秀明・柳美里・塚本晋也との対談、
玉木幸則、真野修一プロデューサーを迎えての『バリバラ』（NHK Eテレ）座談会
四方田犬彦、三浦雅士、大塚英志による論考ほか
■キネマ旬報社刊
■価格：1750円＋税