映画の出演者が「ほぼ全員元囚人」!殺人、性的暴行、タトゥー、地獄刑務所…映画『暁に祈れ』のヤバさを丸山ゴンザレスが語り尽くす!!

――犯罪者のタトゥーが印象的な映画でもありました。

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丸山 映画のなかで、主人公のビリーもタトゥーを入れるんだけど、あのシーンについてはひとつ解説させてほしいです。タイにおいて、護符刺青(サクヤン)と呼ばれるものを入れる行為は、霊的なものを宿らせる意味合いが強いんです。ビリーは大事な試合の前に“虎”の入れ墨を入れましたが、虎には「己の内なる霊力を高めて自分を強くする」という意味がある。相手に勝ちたいから入れてるんじゃなくて、自分を高めるためのタトウーなんです。それを知って映画を観るとより理解が深まりますよ。

 ちなみに、僕が取材した囚人の中にはハゲ対策で頭に刺青を入れている人もいました。本人にはつっこめませんでしたけど。殺人の詳細を聞くより聞きづらいですよね。

――なんと! ハゲ対策! しかも霊的なものを宿らせる…実にトカナ向きの話です!

丸山 サクヤンに関しては、霊的なものを信じて入れている人たちも結構いて、神降ろしする人もいる。儀式中に“神がかり“が起きて、本当に虎になっちゃう人もいるからね。オカルト研究家の吉田悠軌さんが取材してテレビで放送されたこともあるので、ご存知のかたもいるかもしれないのですが、タイには会場に何百人も集まって神がかりの人たちが突然走り出すみたいな不思議なお祭りがあるんです。だからタイの人たちって精霊とかスピリチュアル的なものの力は信じているんですよね。で、その精霊や神を降ろせるのが「彫師」っていう。

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――ほうほう。丸山さんが撮影した神がかりの動画もあるみたいですね。(下写真が動画からのキャプチャ)

映画の出演者が「ほぼ全員元囚人」!殺人、性的暴行、タトゥー、地獄刑務所…映画『暁に祈れ』のヤバさを丸山ゴンザレスが語り尽くす!! の画像8丸山ゴンザレスさんが撮影した動画の一部

――ちなみに、日本人でも刑務所に入る危険性などあるのでしょうか。

丸山 ディカプリオが出演した映画「ビーチ」みたいな感じで、外国人が突然外国で麻薬に触れたり、逮捕されることはそこまで珍しい話じゃない。日本人も例外ではなく、捕まって、強制送還されたりとか、入国禁止処分になったりしている。だから、この映画は全然他人事じゃないんです。あなたも踏み込むかもしれない地獄っていうか。

――でも、悪いことをしなければ捕まらないわけですよね。

丸山 そんなことないですよ。ハニートラップもあるし、運び屋に仕立てられることもある。タイは微笑みの国って言われていますけど、本当に微笑んでいるのは誰かというと、政府なんです。タイってものすごい法治国家で、「ただ立っているだけで刑務所に送られる」なんていう現地のジョークもあるくらいなんです。それぐらい細かく法律があって、それを政府が運用するかしないかどうかの差で、刑務所に行くかどうかが決まる。たとえば、今はアイコスなどの加熱式タバコを所持しているだけで違法です。これが日本人にはほとんど知られていない。だから、日本人が通りやすい道に、警察が狙い撃ちで検挙できる。その場で罰金を請求されたりするんですが、支払いを拒否したら、実刑もありえますし、最終的に100万円ちかい罰金を課されることもある。

 警察判断でちょろまかす人もいるでしょうね。悪質な警官だったら怖いですよ。権力をもった側がその気になったら、罪を犯してなくても、刑務所に送り込むことができる、そういう怖さをもった国なんです。もちろん、弁護士もいるし、法治国家だし、そこまでのことはなかなかないんですけど、“可能性”があることを忘れないほうがいいと思いますよね。

映画の出演者が「ほぼ全員元囚人」!殺人、性的暴行、タトゥー、地獄刑務所…映画『暁に祈れ』のヤバさを丸山ゴンザレスが語り尽くす!! の画像9丸山氏と元囚人

――そういえば、刑務所内での男性同士のレイプシーンもありましたね。

丸山 実際に元囚人の方に取材して「男同士のレイプとかあるの?」と聞いたら「俺は守るタイプだった」って言っていましたが、それって実際に刑務所ではそういうことがあるってことですよね。あと、この映画にはヒロインが出てくるじゃないですか、でもレディボーイ。ってことは、この映画の出演者って「全員男」なんですよね。

――たしかに! 全員男です。

丸山 ヒロイン役の方は実際に会うとメチャクチャ美人でザ・女優にしか見えないんですけれどね(笑)

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 あと最後のシーンですが、原作者のビリー・ムーア本人が出演するところも注目です。「タイって一回犯罪を犯すと再入国不可だから、どこで撮ったのかな」と思ったんですが、フィリピンで撮影したみたいで。そこまでして監督は本人に出演してほしかったわけです。「場の本物感より、出てくる人たちの本物感」を優先する、そういう監督のこだわり方が僕は好きですね。ちなみに、フィリピンの刑務所は僕も行ったことがあるセブの刑務所でした。

――散々この映画のヤバさを伺ってきましたが、最後にこの映画のヤバさを最大限に伝えていただけないでしょうか。

丸山 この映画のヤバさは、あの映画に出てきた人たちって、元囚人じゃないですか。みんな殺人とか犯しているんですよ。なのに映画に出られてるってことなんですよね。この映画の出演者の殺人犯率は相当高いですからね。

だから、タイに行ったら隣にいる善良そうなおじさんも、舐めてかからないほうがいいですよって。もしかしたら殺人をしたことがある人かもしれません。でも、それを受け入れてくれるのもタイ社会で、その厳しさと優しさを両立しているんです。だから、単純に“微笑みの国”として舐めてかかってはいけないよって思うわけです。

『暁に祈れ 』日本版予告動画

12月8日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほか全国順次公開
『暁に祈れ』公式サイト
監督:ジャン=ステファーヌ・ソヴェール『ジョニー・マッド・ドッグ』 
原作:ビリー・ムーア「A Prayer Before Dawn: My Nightmare in Thailand’s Prisons」
出演:ジョー・コール『グリーンルーム』「ピーキー・ブラインダーズ」、ヴィタヤ・パンスリンガム『オンリー・ゴッド』、ソムラック・カムシンほか
2017年/イギリス・フランス/英語、タイ語/シネスコ/117分/原題:A Prayer Before Dawn
日本語字幕:ブレインウッズ
提供:ハピネット+トランスフォーマー  
配給:トランスフォーマー
© 2017 – Meridian Entertainment – Senorita Films SAS 
TWITTER:@APBD1208

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タイトル:村田らむ×丸山ゴンザレスの「やべえ話」
放送時間:12月9日、20:00〜21:30を予定しております。
URL:http://live2.nicovideo.jp/watch/lv317081570(リリース後閲覧可能になります)

■『暁に祈れ』公開記念トークショー
12/8(土) 登壇者:丸山ゴンザレス(犯罪ジャーナリスト)
詳細:https://ttcg.jp/human_shibuya/topics/2018/12031800_5600.html

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