日本を「糖尿病」から救った男! インスリン研究の知られざる天才・福屋三郎と大日本帝国軍の闇

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】

日本を「糖尿病」から救った男! インスリン研究の知られざる天才・福屋三郎と大日本帝国軍の闇の画像1画像は「Getty Images」より引用

■世界一の高貴薬

 インスリンが量産されるようになるまで、糖尿病には有効な治療法がありませんでした。発売当時のインスリンは最高価な薬の一つでした。

 昔の日本で糖尿病が「金持病」と呼ばれたのは、贅沢三昧している金持がかかる病気という意味ではなく、毎日、高い薬を死ぬまで打ち続けなければならないので金持しか治療できない、金持しか生き残れない病気だったことに由来します。実際に当時の新聞はインスリンのことを「世界一の高貴薬」と表現しているのです。

■インスリン治療の始まり

 インスリンが発見され量産が始まって広まるまでの時間は、当時としてはかなり早く、イーライリリー社からインスリンが発売されたのが大正11年末、ベクトン・ディッキンソン社から1目盛が1単位になっているインスリン専用注射器セットが発売されたのが大正13年です。

 日本でも大正13年3月に現代之医学社から平川公行著「糖尿病のインスリン療法」という治療マニュアルが発売され、アメリカからのインスリン輸入も始まっています。書籍の巻末に輸入インスリンの広告がありますが、50単位4円50銭、100単位8円とかなり高価な薬でした。1日30単位必要な患者なら毎月72円かかる計算になります。

 大卒初任給50円の時代に毎月72円です。その他に注射代や血糖測定検査に医者の診察料なども必要ですから、医療費だけで毎月、死ぬまで何十年も、庶民の月収の3倍以上を食いつぶすわけで、年間医療費は軽く千円を超えたでしょう。つまり、まともな医療を受けられたのは平均所得の10倍以上の年収がある人間のみということになります。今で言えば糖尿病患者は年収三千万円以上無いと死ぬ病気だったと言うことで、「金持病」とか「世界一の高貴薬」と呼ばれたのも納得です。

 当時インスリンを生産できる国はアメリカ一国のみで、アメリカから運ぶ輸送費は高く、円がドルに対して弱く、1ドル=2円強だった当時の為替相場ではどうしても高価になってしまいました。

 そこで、国産化の取り組みが始まりました。帝国臓器から昭和10年に国産初のインスリン製剤が発売されますが、ウシやブタの膵臓から抽出精製した物だったので、非常に高価で生産量も少なく、輸入品と比べても安くはなかったため、他社は輸入した方が安いと思い国産化しませんでした。

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