日本を「糖尿病」から救った男! インスリン研究の知られざる天才・福屋三郎と大日本帝国軍の闇

日本を「糖尿病」から救った男! インスリン研究の知られざる天才・福屋三郎と大日本帝国軍の闇の画像3画像は「Getty Images」より引用

■大日本帝国軍の闇

 昭和13年、外交関係の悪化によりインスリンをはじめ医薬品の輸入が完全に停止します。これによって日本国内は深刻なインスリン不足に陥りました。

 この直後、政府によって「全国医薬品原料配給統制会」が設立されて医薬品は統制下に置かれ、配給品に指定されました。その中にはインスリンも含まれており、インスリンを販売していた帝国臓器、武田薬品、鳥居薬品、友田製薬に対して、なぜかインスリンを軍に優先的に納入するように命令が下ったのです。

 この当時、国内で生産していたのは帝国臓器一社だけで、他の三社は輸入販売専門だったので、すぐに在庫は枯渇しました。

 要するに、当時の日本軍には多数のインスリンを常用しなければならない糖尿病患者の将兵がいたことになりますが、そのことに、とんでもない矛盾があります

 軍人の欠格条項に「糖尿病であるもの又はその疑いがあるもの」とあり、糖尿病患者は軍人になれず、軍人が糖尿病になれば病気除隊させられます糖尿病の軍人は存在しないはずなので、軍はインスリンを必要としないはずなのでは?

 秋山好古大将が酒の飲みすぎで糖尿病だったことは知られていますが、偉すぎて歩けなくなるまで辞めさせられなかっただけで、最後は名誉職にすぎない例外的な存在だったのでは? 昭和13年ごろの現役将兵にも糖尿病患者がけっこういたのだろうか? 彼らはナゼ除隊させられず、糖尿病のまま軍の医療費でインスリンを打ち続けながら軍人を続けたのか?

 おそらく、軍人を辞めてしまったら無料で薬が手に入らなくなるので、軍籍にしがみついていた可能性が考えられます。金持病を無料で治療してくれる軍を辞めることは、死を意味していたからです。

 年間千円に達する医療費を自費でまかなえたのは最低ギリギリでも大尉の年収1860円か、少佐の年収2640円より上の階級で恩給がもらえる年限13年以上勤めた人間でないと無理と推測できます。年功序列式だったので、士官学校を出て13年軍人をやっていれば最低でも大尉にはなれたはずです。

 またもう一つ考えられる事情として、昭和12年から日中戦争に突入して将校が不足していたことがあります。極度の人手不足で、糖尿病でも辞めさせるわけにいかなかったのかもしれません。

 ちなみに、当時の陸軍の資料によると、インスリンの使用目的は「精神分裂病の治療」「毒ガス対策」となっています。いや、精神分裂病の治療が必要な軍人も居ちゃだめだろとか、どうやったらインスリンで毒ガスを防げたのかツッコミどころしかないんですけど……。

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