性的虐待、肉親への憎悪…母娘の念で9人死んだ実話怪談! 川奈まり子の「呪殺ダイアリー」後編
田舎ではあるが、元は旧家、素封家と呼ばれていた屋敷で、部屋数が多かったため、姉とは寝室が別であり、大部分を売り払ったとは言え、敷地は広く、雑木林に囲まれている。
誰にも声は届かない。
家が落ちぶれて、恵子さんの母が口減らし同然に16で嫁がされたあたりからすでに不幸が始まっていたが、まさかここまで悲惨なことになるとは……。
「水商売を始めてから、母はとても活き活きしていました。母はまだ30代半ばで、化粧をするととても綺麗でした。クラブ勤めは性に合っていたようでもありました。でも、ある日、たまたま早く帰ってきて……」
夜の11時頃だった。窓の灯りが消えていたことから、恵子さんの母は、皆が寝たものと考えて、音を立てないように玄関に入った。
すると、暗い家の中のどこかから、奇妙な声が低くかすかに流れてきた。
男の囁き声と、切迫した息遣いが。
「母が襖を勢いよく開けて、部屋に入ってきました」
「修羅場ですね。でも、助かりましたね!」
「さあ……。挿入まではされていませんでしたが、もう1年も玩具にされていましたから……。助かったという感じはしませんでした。母と男はすぐに部屋の戸口のところで罵り合いになって、私は逃げ出すことも出来ず、ベッドの上で縮こまっていました。すると父が言ったんです」
「恵子ちゃんがいるから、おまえみたいなオバサンと一緒にいてやっているんだよ!」
――この人もダメだ。要らない。
こいつが家に居る限り、地獄の夜がずっと続く。
はからずも男の告白を引き出してしまった母が、一瞬、こちらに放った殺意のこもった眼差しも、恵子さんは見逃していなかった。
男が存在し続けるなら、嫉妬に狂った母にいつか苛め殺されてしまうだろう。
――この人も、消えろ。
彼はその翌日に死んだ。
河川敷の工事現場で、工事作業車が誤作動して、彼がいた斜面の上に大量の土砂を流した。土砂に足をすくわれて斜面を滑落し、彼は川に落ちて流された。下流で発見されたときはとっくに遺体になっていたという。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊性的虐待、肉親への憎悪…母娘の念で9人死んだ実話怪談! 川奈まり子の「呪殺ダイアリー」後編のページです。怪談、家、娘、母、実話怪談、川奈まり子、情ノ奇譚などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで