「ツボ」は本当に存在する! はり治療の効果と東洋医学の科学的根拠… 知られざる歴史も!
肩こりや腰痛の対策として大人気のはり治療。街中でも鍼灸院の看板が並んでおり、頻繁に通っているという人も珍しくない。テレビ番組でもたびたび取り上げられ、今月23日(水)午後7時30分からの『ガッテン!』(NHK総合)でも、「慢性痛しびれが改善! 逆子も治る!? 東洋の神秘『はり治療』SP」としてはり治療の特集が組まれる。
はり治療とは一般に、人間の全身に走っている経絡に存在する経穴(いわゆる“ツボ”)を刺激し、気の流れを正常化させる治療法といわれるが、その科学的な根拠は現在も研究段階にある。今回は、トカナで過去に取り上げた、経絡とツボについての考察記事を再掲する。寒さが続く中、体調不良という人も多いだろう。そんな方々の一助となれば幸いだ。
(編集部)
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古来より東洋医学の基本的な概念として根付いている経絡(けいらく)と、いわゆるツボと呼ばれる経穴(けいけつ)。
経絡とは気血の通り道として考えられており、臓腑と体表とを結んだ、全身に分布するルートのことを表している。だが、その経絡が体内のどこに存在するかについては、科学的には判明していなかったのだが……。
■“ボンハン管”全容解明への奮闘が続く
過去に初めてこの経絡が実体として存在することが発表されたのは1960年代、北朝鮮平壌大学のキム・ボンハン(金鳳漢)博士によってである。
血管でもリンパ管でもない別の脈管系“ボンハン管”が全身にくまなくはりめぐらされており、この経絡系統は細胞の形成、維持、死滅の過程を調節し支配しているとして当時は一斉を風靡したのだが、論文には方法部分の詳細がなかったためほかの研究者が追試することは難しく、インチキ学説とみなされ、やがてブームも下火になってしまった。
以来ずっと不明なままだったが、21世紀になり再びこの謎に挑む科学者たちが奮闘しているという。
韓国では数十年前では難しかった精密顕微鏡などの研究機器や還流技術を駆使して実験を拡大。糸のような構成のボンハン管への集中的検査が開始された。色をつけた特殊な染料を管内に注射する、「アクリジンオレンジ蛍光染色法」と呼ばれる方法によってボンハン管の特徴であるサイズや形状、核の散らばり具合を確認するに至ったのである。
これらの調査結果から、経絡のルートは皮膚に限定されているものではなく、血液のような循環ルートを持ち幹細胞を体内に張り巡らされていることが判明したという。もっとも、経穴に相当する皮膚のボンハン小体の検出には至っておらず、経絡経穴についての完全な科学的証明はまだだ。
北朝鮮国内でも一時はボンハン博士が記念切手になるほど称えられていた。しかし後に学説が抹消され、政治的理由から博士が消息不明になってしまったという、なにやらいわく付きなこのボンハン学説。他国でも続々研究がなされているそうなので、続報に期待したい。
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