受け取ってしまった男 ― ヤクザが多めの地方都市で起きた“本当にあった怖い話”
2019.02.06 14:00
イメージ画像:「Getty Images」より
アパートに戻るとそのまま朝まで眠りこけ、翌朝、梅木はようやくその紙袋を開けてみた。このように、梅木はとにかく反応が遅い。東京の言葉で言えば、何事にも「トロい」という表現が似合うだろう。
そして袋を開けて出てきたのは、見たこともない量の札束だ。100万円の札束が20束ほど。それと、ビニール袋に入った拳銃がひとつ。
梅木から見れば十年分の給料と同じだ。それと、使い途はわからないが拳銃が手元にある。この時点で、梅木には3つの選択肢があった。一つは、すぐに警察に連絡してそれを届けること。そうすればこの件はそれで終わりになったはず。
二つめは、バイトも辞め荷物もまとめ、アパートを引き払って遠くに引っ越しすること。
彼女も家族も地元にいないフリーターの梅木にとって、経済的にはこれが一番正しい。東京か大阪など、誰も知り合いがいない大都会に転居してしまえば見つかることもないだろうし、そこで今と同じフリーター生活を始めることもできる。そうすれば、紙袋の中身は自分のものになる。拳銃は都会の河口の深いよどみに捨ててしまえば、それでおしまいだろう。
そして三つめは、とりあえず紙袋はそのままにして、後でゆっくりどうしようか考えること。梅木は何も考えずに札束から3万円だけ抜き取ると、この一番悪い方法を選んでしまった。
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