ビル・ゲイツが原発を全力「推進中」もう暴走レベル! 次世代ゲイツ原発「進行波炉」は本当に安全なのか!?

■専門家がゲイツ氏の原発推進に“憂慮”

 しかし「Washington Post」紙などの記事によれば、一部の専門家からゲイツ氏が推進するTWRへの疑問が投げかけられているということだ。

 アメリカの科学者団体「憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)」に所属しているエドウィン・ライマン氏もゲイツ氏の計画に“憂慮”しているうちの1人である。もはや「ゲイツ原発」とさえ呼ばれることもあるTWRだが、まだ開発されたわけでもないのに、TerraPowerへの期待だけが先走りしているというのだ。

「先進的な原子力発電設計の供給会社は、彼らが数年で、そして世界中でそれらを商業的に展開することができると言っていて、我々の多くもそのように感じてはいます。ただ、実際にどれほど速く普及し、どれほど効果的であり得るかについて、一般の人々を誤解させているとも言えるので(期待に沿えなかった時の失望を考えれば)彼らの主張は逆効果であると思います」(エドウィン・ライマン氏)

 そしてTWRには技術的にまだ解決されていない課題があることも指摘されている。

 昨年の米マサチューセッツ工科大学のレポートでは、TWRが主張しているパフォーマンスを発揮するには、燃料と素材に関する先進的な技術が要求されていると報告している。

 専門家が具体的に指摘しているのは、劣化ウラン(depleted uranium)を原子炉の中で一定のペースで燃焼できないことと、その結果として燃料棒を再編成するために設計を変更する必要があること、そして従来の原子炉よりも強力な中性子の衝突から燃料棒を保護するために必要とされる強度の金属素材が見つけられていないことなどであるという。

ビル・ゲイツが原発を全力「推進中」もう暴走レベル! 次世代ゲイツ原発「進行波炉」は本当に安全なのか!?の画像3米ペンシルベニア州・スリーマイル原発 画像は「Wikipedia」より

 政治的な問題としては中国との関係もありそうだ。TerraPowerは2017年にTWRの開発を目的に中国の原子力発電大手との合弁企業を設立しているが、昨今の“米中貿易戦争”がこの協力事業の先行きに影を落としているのかもしれない。

 ビル・ゲイツ氏が将来のエネルギーとして、まだ原子力にこだわっている点はやや残念な感もあるが、この件をはじめ今年のゲイツ氏がどんな動きを見せるのか、この希代のビリオネアから引き続き目が離せないようだ。
(文=仲田しんじ)

参考:「Washinton Post」、ほか

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