ジョン・レノンは頭蓋骨に穴を開ける予定だった!? 宮川大輔も推薦する過激な身体改造の旅本『クレイジーカルチャー紀行』の内容とは!? 出版記念インタビュー[前編]

——ラス・フォックスさんとは僕もイベントでご一緒させて頂きました。すごく気軽な感じで最先端の技術を使いこなしているという印象でした。まるで子供が新しいオモチャを与えられたときのようなボディハッキングの実践者たちの振る舞いは、21世紀におけるカウンターカルチャーの実践の雛形であるようにも感じます。

ケロッピー 実際、現段階で身体にマイクロチップを埋め込んでも、日本では実用的に使えるわけではないけれど、僕からしたらこれはある種のゲームなんです。たとえば僕に入ってるのはNFC(近距離無線通信)対応のマイクロチップだけど、このNFC対応が登場してからはデータの書き換えが可能になりました。そのことから、そこにどんなデータを書き込むかを含め、自分自身でいろんなお遊びを考えることができるし、新しい使い方がどんどん模索されるようになっているんです。

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マイクロチップで自宅のドアの鍵を開けるラス・フォックス

■手がないから握手もできない!? 身体改造の世界大会モドゥコンの衝撃

——ところで、本書には頭蓋骨に穴を開けるトレパネーションという改造についても詳細なレポートがありましたが、個人的になぜそれが現代に復興したのかについての解説が非常に興味深かったです。実は1960年代、あのジョン・レノンがトレパネーションを実践しようとしていた、と。

ケロッピー これは世界的には有名な話なんです。現代において、世界の多くの人々がトレパネーションに興味を持つようになったきっかけは、ジョンがトレパネーションを実践しようとしたからなんです。

 当時、アムステルダムはヨーロッパのカウンターカルチャーの中心都市のひとつで、だからこそジョンとヨーコはアムステルダムにハネムーンで訪れ、反戦平和を訴えるパフォーマンス「ベッドイン」をやったわけです。そんなアムステルダムでも目立ってた人物にバート・フーゲスがいました。彼こそが現代にトレパネーションを復興させた立役者だった。だから、ジョンはアムステルダムで真っ先にバートに会いに行ったんです。

——まさに一つのカルチャーが動いた歴史的な瞬間ですね。

ケロッピー そう。現代のトレパネーションのクライマックスは、ジョンがバートに会いに行ったという歴史的事実に辿り着くんです。もちろん、僕はそこに立ち会うことはできなかったわけだけど、ただ、その現場に立ち会ったコリ・ヤニという写真家に直接話を聞くことはできました。実はカルチャーというのは、そういう歴史を変えるような出来事の積み重ねによってできているんです。この本ではそういうことも皆さんに知ってほしいと思ってます。

——カルチャーの生まれる現場といえば、身体改造の世界大会「モドゥコン」もまさにそういう場ですね。

ケロッピー 実は今回の本で皆さんに絶対に紹介しなければならないと思っていたのが「モドゥコン」なんです。これまで僕が行ったいろんな海外取材の現場でも最もすごかった現場は圧倒的に「モドゥコン」ですから。

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