日本のホームレスはなぜ、こじき(物ごい行為)をしないのか? 自ら体験&取材した結果わかったことがヤバイ<村田らむ>
「私パン屋で働いているんですけど、お店が終わった後に売れ残りをもらえるんです。まだ食べられるのでよかったらどうぞ」
と、丸く大きいパンをいくつもくれた女の子もいた。
また、人のよさそうな老婆が話しかけてきたこともあった。
「若いのにこういう生活になってしまったのはかわいそうね。なかなか抜け出すのは大変でしょう。私が入っている団体に来れば、しばらくは衣食住には困らない生活ができると思いますよ」
と言われた。よく聞くと、有名な新興宗教団体への入信の誘いだった。僕は丁重にお断りしたが、新興宗教団体のお世話になる人もいるという。
もちろん注意される場合もあった。
「ここは施設の中だから、移動してください」
「この路上にいられると困るので、どこかに行ってください」
とたびたび警備員や公園管理の人に注意、指示された。ただ、あまり厳しい言い方ではなく「申し訳ないんですが」という雰囲気があったた。一度も揉め事にはならなかった。
僕の経験から言えば、こじき行為をすればローリスクである程度の収入を得ることができるようだ。それなのにこじき行為をしているホームレスがきわめて少数派なのはなぜだろうか?
■こじき行為をしているホームレスに直撃取材!
少数派とは言え、こじき行為をしているホームレスはいる。たとえば新宿駅や渋谷駅の近辺には常に数人のホームレスがこじき行為をしているのを見かける。
ただし、あからさまではない。『お恵みください』といったプラカードを掲げるわけではないし『右や左の旦那さま……』と口上も垂れない。あくまで、座っている前に、空き缶、どんぶり、裏返した帽子などを置いているだけだ。なぜなのかを聞いてみる。
「そりゃあからさまに(こじき行為を)やっていたら、警察に怒られるからね。やめなさいって注意される。でも空き缶を置いているだけなら『ただ置いているだけで、お金を入れてくれとは言ってない』って言い訳できるでしょ?」
と言われた。
こじき行為をしていると、警察にやめるよう注意されるのだ。
「誰にも迷惑がかかるわけでもなし。警察も厳しいことをするなあ」
と思う人もいるだろう。ただ、警察も注意しなければならない理由がある。
日本でこじき行為をすること、またはこじき行為をさせることは『軽犯罪法』に抵触するのだ。
『軽犯罪法 第一条 二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者』
と定められている。つまり、こじき行為は犯罪なのだ。違法行為ならば、警察は注意せざるをえない。
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