人が消える部屋…不動産執行人が遭遇した超ミステリー物件を暴露
どうやら債務者はマンション内では有名な“変わり者”だったようで、部屋番号を伝えただけで「あぁ! あの人……」と管理室スタッフらが眉間にシワを寄せる。
マンション自体は地方都市ながらも最寄り駅から徒歩5分という駅チカ物件。築年数も20年前後、規模は大きく管理も行き届いている。
条件的には申し分ないマンションの上層階、そんな一室が本日の当該物件。
債務者とは音信不通であるため強制解錠案件となっているのだが、どうも様子がおかしい。
玄関扉前でハンディタイプのモニター映像を眺めながら、鍵師さんが首を傾げているのだ。
このモニターに映し出されているのは、解錠のため外されたドアスコープから室内に送り込まれる内視鏡からの映像。
「電気、つけっぱなしですね」
そのまま解錠も成功し、扉が開くとやはり玄関からの明かりが漏れる。
玄関には人感センサーの取り付けを確認できないため、この家の電気は“長らく”つけっぱなしとなっているようだ。
この“長らく”と推測するに至ったのは、玄関から室内にかけて張り巡らされた蜘蛛の巣。
これらを払い除けながら進まなければ先へ進めない状況が奥まで続いていた。
足元の状況はといえば、いわゆるゴミ屋敷。
足の踏み場もない廊下を蜘蛛の巣に悩まされながら進む。トイレ、風呂場、キッチンといった水回りにしばらく使われた形跡はなく、いずれもゴミが詰め込まれているだけだった。
ところが……、リビングには何やら人の気配があるのだ。
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