政府に潰された伝説の大麻雑誌『BURST HIGH』元編集長が語る! ヤバすぎた大麻特集と『噂の真相』デスクの金言とは!?
そこで私は、いまや有名になったカメラマンのNと、その相棒である大阪のライターTに金を渡し、勝手に取材して来いと丸投げしたのであった。どちらも当時20代。つまり危ない橋は若い衆に渡らせるわけだ。
ただし、こう釘は刺した。
「絶対、お前らは刈るんじゃないぞ」
これさえ言っておけば、2人がパクられても私はオマワリから逃げられる。こっちはあくまで「ジャーナリスト」として取材へ行かせたのだから。
ちなみに他の企画は、当然だが栽培法、栽培家のお宅訪問、世界マリファナ品評会、売人座談会、スモーカーのラッパー座談会、パクられたときの対処法等であった。
さて、1週間ほどの北海道取材を終えた2人組が、原稿を持って編集部へ来る前夜のことである。
その晩、私は新宿三丁目のバーで、いまは無きスキャンダル雑誌『噂の真相』のデスクのカワバタさんと呑んでいた。当時、可愛がってもらっていたのである。
私はオールカラー32ページの「大麻特集」のことを大先輩へ語った。するとカワバタさんは、いつもの落ち着いた微笑を浮かべこう言った。
「いいねえ。うちは応援するよ。でも次の版元探さなきゃね」
「はっ? 版元?」
「そう、出せば絶対オマワリから潰されるから、次の出版社を探さなきゃ。うちはダメだけどね」
ずっと官憲と戦ってきたカワバタさんはそう言って、やはり優しい微笑を浮かべるのであった。
翌日、能天気なNとTの20代コンビが元気いっぱいで編集部へやってきた。
カメラマンのNがポジフィルムをライト・ボックスへ乗せて、1枚のカットを指差し嬉々として言った。
「これハードコアでしょう。表紙にどうですか?」
私はルーペを覗くなり、怒鳴った。
「てめえら、俺の雑誌つぶす気か!」
そこには刈り取られた自生大麻が山と盛られていた。それもなんと、パトカーのボンネットの上にである。
もちろん、そんな写真は速攻処分した。
そしてオールカラー32ページ「大麻特集」は、カラー4ページ、モノクロ4ページ、計8ページに縮小され、そっと掲載されたのであった。
『BURST HIGH』発行、2年前のことである。
<トカナで連載中のBURST執筆陣>
・ケロッピー前田(身体改造とサブカル)
・石丸元章(ドラッグと文学)
・釣崎清隆(ジャーナリズム・死体写真)
・福田光睦(アングラ・闇カルチャー全般)
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2024.10.02 20:00心霊政府に潰された伝説の大麻雑誌『BURST HIGH』元編集長が語る! ヤバすぎた大麻特集と『噂の真相』デスクの金言とは!?のページです。雑誌、大麻、曽根賢、BURST HIGHなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで