「サイボーグは我々を植物のように扱う」ガイア理論提唱者が警告! ノバセーン時代到来へ
■サイボーグが地球を“作り変える”
今世紀中にも行われる人類からサイボーグへの“主権移譲”だが、その当初において人類はサイボーグから実に優しい扱いを受けるという。
「我々が植物を見る視線で、サイボーグは我々を見るでしょう」(ラブロック氏)
つまり草木を愛でるガーデニング好きな人々のように、サイボーグは我々を庭園の植物のように扱ってくれるというのだ。
そしてサイボーグは急務の課題である地球環境の保護に乗り出す。夏場にパソコンがパフォーマンスの低下を起こすように、彼らにとっても温暖化は放置できない問題なのである。
「彼らはおそらく新たな地球工学を駆使して、地球環境の保護と改善のための大規模なプロジェクトを実施するでしょう。彼らにはじゅうぶんにその能力があります」(ラブロック氏)
ラブロック氏は「サイボーグは地球の地表のかなりの部分をソーラーパネルで覆うだろう」と予測している。地球環境が改善の方向に向かうことは人類にとっても願ったり叶ったりだが、どうやら我々が素直に喜べるのはここまでのようだ。
考えてみれば、彼らサイボーグは我々のように酸素と水を直接的には必要としていないのだ。したがってどこかの時点でサイボーグは地球を自分たちの生存に適した環境に“作り変える”ということだ。
たとえば、我々の炭素ベースの環境をシリコンに置き換えるかもしれないという。植物は太陽光発電を行い、木には果実の代わりにバッテリーの“実”が成るようになるという。そして彼らによって地球の作り変えが進めば、我々人間を含む一般的な生物は滅びるしかなくなる。
「最終的に、有機体としての“ガイア”はおそらく死ぬでしょう。我々が原始人の死を嘆かないのと同じように、サイボーグも人類の滅亡を悲しむことはないでしょう」(ラブロック氏)
■「宇宙で最も高度な知性はサイボーグ」
サイボーグが完全に地球を制御下に置いた時点で、彼らが地球の最後の“住人”であることが決まるという。ラブロック氏はこの状態、つまりノバセーンの時代は10億年ほど続くと考えている。
しかし、もはや死んだ惑星となった地球は、その後は徐々にサイボーグにとっても耐え難い過酷な環境となり、どこかの時点で地球外への移住を開始するということだ。そしておそらく彼らは最終的に他の惑星のサイボーグと接触することになる。
SETI研究所の天文学者であるセス・ショスタック氏は、これと同じシナリオがすでに宇宙全体で展開されている可能性があると考えている。
「宇宙で最も高度なインテリジェンスはサイボーグである可能性が高いと思います」(ショスタック氏)
このシナリオが“ディストピア”だと未来に感じたならば、ラブロック氏とは異なる受け止め方をしていることになるという。ラブロック氏はあくまでもこうしたシナリオが文明の輝かしい未来であると捉えているのだ。
人類は地球上で大きな成功を収めており、後継者にバトンを渡す前に現在、我々は自らが出来得る最も高貴なことに取り組んでいるということだ。
「私たちは今、知識の贈り物を新しい形態の知性に手渡す準備をしているのです」(ラブロック氏)
ラブロック氏が解説する地球の未来はあまりにも壮大だが、今年7月、御年100歳を迎えたラブロック氏の知見に耳を傾ける価値があることは間違いない。
参考:「MACH」、ほか
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