HIVの「キルスイッチ」を発見、感染細胞の増殖を阻止! 抗ウイルス剤が不要に…画期的ブレークスルー到来!
HIVは一度感染してしまうと完治は難しく、一生抗ウイルス剤を飲み続けなければならない“不治の病”である。今年3月にも寛解に成功したというニュースがあったが、まだまだ実験段階であり、この治療法にも様々な危険性が指摘されている。そんな中、HIVに感染した細胞の「キルスイッチ」が発見され、新たな治療法につながると期待される研究成果が発表された。英「Daily Mail」(9月26日付)ほか、多数メディアが報じている。
「これはHIVの研究において、30年間にわたって探し求められてきた重要なスイッチの一つです」
米カリフォルニア大学サンディエゴ校のHIV研究者タリク・ラナ氏は、自身の研究成果と意義についてこのように述べている。ラナ氏らが発見したのはHIVに感染した細胞を消すためのキルスイッチのようなものであり、このスイッチを“オフ”にすれば、抗ウイルス剤の投与をやめてもHIVが増殖することはなくなるという。
HIVは人間の体内に入ると、免疫細胞の一つであるCD4リンパ球に感染する。感染したリンパ球はHIVを産出して壊れてしまい、それが繰り返された結果、免疫力が急速に低下してAIDSを発症するのだ。抗ウイルス剤で体内のHIVの量を減らすことはできるのだが、HIVの厄介なところは、感染した細胞の一部がウイルスを産出せず、なおかつ免疫系の攻撃からも逃れて潜伏し続けるところにある。このようなリザーバー細胞が存在するせいで、抗ウイルス剤の投与をやめた途端、HIVは体内で再び増加していく。
今回ラナ氏らが発見したのは、このリザーバー細胞を止める方法である。HIV感染細胞に存在するHIV-1 Enchanced LncRNA(HEAL)という非コーディングRNA(タンパク質をコードしていないRNA)がHIVの複製を調節していることを発見、このRNAの働きを分子生物学的な手法で止めるか除去すると、抗ウイルス剤の投与をやめてもHIVの増加は認められないと突き止めたのである。
「私たちの研究成果は、HEALがHIVの病因において重要な役割を担っていると示唆しています。HIVに感染後、HEALが発現に至るメカニズムを明らかにするにはさらなる研究が必要ですが、この発見は治療のターゲットとして活用される可能性があります」(ラナ氏)
研究をまとめた論文は専門誌「mBio」に9月24日付で掲載された。チームでは今後、動物実験でさらに詳細な研究を行う予定とのことで、いずれは人間への応用が期待されている。HIVが不治の病でなくなる日はくるのか、多くの人々がその実現を待ち望んでいる。
参考:「Daily Mail」「UC San Diego News Center」「mBio」ほか
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