ダイヤモンドの中に未知の物質を発見! 地の底マントルの新種鉱物「ゴルトシュミッタイト」の神秘
「ゴルトシュミッタイトには、ニオブ、カリウム、希土類元素のランタンとセリウムが高濃度で含まれていますが、一方でマントルの大部分はマグネシウムや鉄などの他の元素が支配しています」と、これを発見したアルバータ大学博士課程の学生、ニコール・マイヤー氏は説明する。
「カリウムとニオブがこの鉱物の主たる部分を構成するためには、これらの異常な元素を濃縮した例外的なプロセスで形成されたに違いありません」(ニコール・マイヤー氏)
“例外的なプロセス”とは何か? それは我々にもまだよくわかっていない地中奥深くのマントルの動きによるものであると考えられるという。地の底にある未知の物質がダイヤモンドに“梱包”されて運ばれ、我々の前に姿を現したのだ。
■ダイヤモンドは地球の歴史の“タイムカプセル”
地質温度圧力に基づく分析で、この深緑色の小さなゴルトシュミッタイトのサンプルは、地表から約170キロメートルの深さの場所で形成されたことが推定できるという。
ゴルトシュミッタイトは、ニオブ酸カリウム(KNbO3)と呼ばれるペロブスカイト構造の結晶と化学的には類似しているのだが、 地球のマントルで見られる天然のペロブスカイト族鉱物はこれまでに5件しか知られていなかったということだ。
ペロブスカイト鉱物学の先駆者となったノルウェーの鉱物学者、ヴィクトール・モーリッツ・ゴルトシュミット(1888–1947)にちなんで名付けられた今回のこのゴルトシュミッタイトのサンプルは、南アフリカのカープバールクラトンにあるダイヤモンド鉱山地帯「コフィーフォンテイン・キンバーライトパイプ」で発掘された。
ちなみにカープバールクラトンは地球上で最も古い種類の岩石の“本拠地”であり、科学者にあらゆる種類の鉱物を発見する可能性を多く提供している。そしてこの場所でダイヤモンドは、きわめて太古の地球の痕跡を我々に届けてくれる“タイムカプセル”の役割を果たしているのだ。
「化学的に不活性で剛性のある媒体として、ダイヤモンドは、中に含む鉱物を何十億年も保存できるため、大陸プレートや深部マントル領域の古代の化学条件のスナップショットを提供してくれます」(ニコール・マイヤー氏)
美しいダイヤモンドが地球の歴史の“生き証人”にもなっていたとは驚くばかりだ。今後もダイヤモンドがどんな“宝物”を届けてくれるのか気長に吉報を待ちたい。
参考:「Science Alert」、「Sci Tech Daily」ほか
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