オリンピック後の都市を表現した現代美術展「TOKYO 2021」は必見!! 圧倒的なスケールとインパクトで“切実な未来”を描く!

 東京のど真ん中、京橋にあるTODA BUILDING黒瀬陽平キュレーションによる現代美術展「un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング」(2019年10月20日まで)が開催中である。

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藤元明《2021 #TOKYO 2021》2019

 黒瀬陽平は、ゲンロン新芸術校の主任講師を務め、辛口の美術批評家として知られるが、自らもキュレーターとしてアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を率い、日本の現代美術の新しいあり方を模索し続けてきた。その具体的な成果が、福島県内で震災と復興をテーマに過去3年間開催された「カオス*ラウンジ新芸術祭」であった。そして、その続編と言えるものが今回は東京の中心部、近く取り壊しを予定しているTODA BUILDINGで行われた。

 当初、「TOKYO 2021」と題されたアートイベントが2019年に行われることに違和感を感じたが、2021年とは、東京オリンピック後の未来に向けたものならば合点がいく。それは世間的な祝祭ムードに距離をおき、現代美術という立場から一石を投じようというものだ。

 黒瀬の解説によれば、「本展は、来るべき2つの『祝祭』(2020年の東京オリンピックと2025年の大阪万博)に向けて企画された現代美術展」だが、「2020年と2025年の前には、2011年の東日本大震災がある」ことから、「この国の祝祭はいつも、災害に先行されている」として、「反復される災害と祝祭のなかで、新たな想像力や表現を生み出す芸術の営みを、『慰霊のエンジニアリング』と名付け、その系譜をたどってゆく」という。

 つまり、来るべき「祝祭」の翌年に着目することで、災害と祝祭の反復の外に出ること、そのための術を模索すること、そのことこそ「芸術の『使命』であるはずだ」というのだ。

 「TOKYO2021 美術展」は、同ビル内の2つの展示Site A「災害の国」Site B「祝祭の国」からなる。ともに入場無料だが、Site B「祝祭の国」のみセキュリティ上の都合から公式Webサイト(https://www.tokyo2021.jp)からの事前登録が必要になる。 

 平日ともなれば会社員の往来も激しいTODA BUILDING前には、現在、藤元明の巨大な立体作品《2021 #TOKYO 2021》が設置されている。まず、Site A「災害の国」から見ていこう。

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