【第三次世界大戦】日本はなぜ中国を恐れないのか? 中国が超えられない日本の防衛力とは?

 一方、日本の地理的優位性の理由だが、この国は北海道、本州、四国、九州を中心とする島からなっており、これらの島を攻略するためには大量の兵士を海を渡って送り込まなければならない点にある。 海上自衛隊の任務は主に潜水艦狩りで、対艦攻撃力は弱いとされるが、保有する対艦ミサイルは80~200キロの射程距離を持つ。正面から艦隊決戦を行なうならともかく、上陸用兵員を乗せた輸送船を日本に届けるのはかなり困難である。航空自衛隊も同様のミサイルを保有しており、容易に沿岸には近づけやしない。

 仮に日本の海岸に上陸するならば日本海側ということになるが、万が一にも上陸拠点を築けても太平洋側からの航空攻撃に耐えられるとは思えない。補給用の輸送船は行動すらままならない。そうなると太平洋側に出て、大阪から東京に至る太平洋ベルト工業地帯の動きを止める必要があるが、本州には背中に日本アルプスをはじめとする険しい山がそびえており、戦車も兵員輸送車も使えず、歩いて超えるしかない。関越トンネルを抜けたとしても、狙い撃ちされて終わるだろう。

 冷戦時、日本が最も警戒していた仮想敵国がソビエトだった。当時、ソ軍は強大で北海道に上陸し、飛行場を建設して広い大地を戦車で蹂躙できると見ていたが唯一、補給という弱点があった。自衛隊 には世界トップクラスの性能を誇る90式戦車300両が配備して いる。ロシア戦車の性能が上回っても、その数に対抗するだけ運ぶ 手段がない。少数であるが北海道には戦闘ヘリもある。

 中国が仮に北海道全域を占領したとしても、本州からの攻撃を止められるわけではない。本州に渡るためには津軽海峡を越え、山岳地帯を縦走しなければならず、やはり困難だ。

 そうなると日本の弱点となるのは九州から南にかけての南西諸島になる。尖閣諸島ばかりが取り沙汰されているが、日本は6000ともいわれる小島から成り立っている。自衛隊では九州、沖縄、山陰山陽に多くの基地を置いて警戒に当たっているが、小島を次々に占領されることを防ぐのは難しい。

 沖永良部島や与論島など飛行場のある島は、そのまま基地に使えるが、相手が中国であれば輸送距離も短く、兵站線( 本国と戦場を連絡する輸送路)の完全破壊はできないだろうだ。なにしろ中国の上陸部隊は強力で、7万5千人の兵員を擁し、装備も充実している。自衛隊はそれを把握しているからこそ、ここ数年で「島嶼部奪回作戦」のシミュレーションを採用している。これは一旦、島を占領されても逆上陸して奪回する。水陸両用部隊を編成し、隊員は陸上自衛隊の選り抜きをさらに選別、空挺降下や水路上陸も行なう。ハード面でも日本のほぼ最南端で ある宮古島に警戒部隊と対艦ミサイルを置き、 必要とあらば下地島空港が使える。ここは一時、JALがジャンボ ジェットの訓練用としていたほどで、戦闘機も運用可能な3000メートル級滑走路があるのだ。市議会の反対で自衛隊の常駐は見送られているが、戦争となればそうも言ってられない。

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