「サイコパスに裏切られる衝撃と、日本にも拡大する“殺人の病巣”」映画『テッド・バンディ』監督、シリアルキラーを語る!

 IQ160の頭脳と美しい容姿で女性を魅了し、30人以上の女性を惨殺した実在の殺人鬼を描く『テッド・バンディ』が、12月20日に公開を迎える。主演は「グレイテスト・ショーマン」などのザック・エフロン。監督は、エミー賞を2度受賞の名匠ジョー・バリンジャー。彼は、Netflixオリジナル作品「殺人鬼との対談:テッド・バンディの場合」でも監督を務めており、業界No.1のテッド・バンディ専門家である。トカナでは、バリンジャー監督にインタビューを敢行。伝説の殺人鬼をなぜ今蘇らせたのか、悪魔は存在するのかなど、質問をぶつけた。

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■テッド・バンディがもたらす”教え”

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(C)2018 Wicked Nevada,LLC

――テッド・バンディが連続殺人を犯していた時代から半世紀近く経った今、なぜ彼について掘り下げようと思ったのですか?

バリンジャー監督(以下、バリンジャー ) 今年は、バンディが1989年1月に処刑されてから、今年で30年目に当たるということが1つ。2つ目は、今の20歳〜25歳くらいの若い世代の女性達が「バンディを知らない」という事実です。私には、20歳と24歳の娘がいます。娘達も、その友人達もバンディを知らないというのです。これが、今の時代にテッド・バンディについてフィクションというアプローチで伝えたいと思う強い理由になりました。

 テッド・バンディの物語の”教訓”は「その人のルックスや振る舞いだけで判断して、信頼してはいけない」ということです。私達は「連続殺人者は我々とは全く別の存在だ」と思いがちです。これはとても危険な考えです。なぜなら、誰もが善き人として他者に優しく振る舞うことができるのと同時に、恐ろしいことをする能力も持っているからです。それを認識しなければ、我々の中にいる”邪悪な存在”を見過ごしてしまいます。この教えを、とくに娘達の若い世代に向けて伝えたいと思ったから「今」だったんです。

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 ちなみに、娘達も映画に出演しています。下の娘が、図書館でバンディに気が付く役。上の娘はバンディのグルーピーの1人としてインタビューされる役です(笑)。

――監督は『テッド・バンディ』と同時に、ドキュメンタリー作品でもバンディに迫っています。映画ではフィクションという手法を使うことで、より若い世代に届けやすくしたかったのでしょうか。

バリンジャー  そうです。2つのテッド・バンディ作品を同時に撮ることになったのは本当に偶然だったんです。まず、バンディに関するテープの所有者から私に連絡があったことでドキュメンタリーの制作が始まりました。そしてバンディについてハリウッドのエージェントに話しをしていたところ、彼が「ブラックリスト(映画化困難な脚本リスト)」からこの映画の脚本を出してきたんです。映画化されていなかった理由は、バンディを美化してしまうかもしれないという懸念があったからでしょう。しかし、私は美化せずに、ドキュメンタリーではできない形で物語を伝えられると思いました。そして、ザック・エフロンがオファーを受けてくれたことで、私がこの作品をやると言った日から、たった4週間で映画化が決定しました。これは異例なスピードです。そのため、ドキュメンタリーとフィクションの両方で同じ人物を扱うという奇妙な状態に置かれることになったのです。こういう運命を感じることは時々起こるんです。


■サイコパスに裏切られる体験を

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――ザック・エフロンがバンディを非常に魅力的に演じています。バンディを魅力的に描くことについて監督は懸念をお持ちでしたか?

バリンジャー  物議を醸し出すだろうと予想はしましたが、私はこれまで何度も物議を醸し出すような題材を扱ってきたので心配はしていませんでした。この作品では、観客にバンディの恋人であるリズと同じ体験をしてほしいのです。そのためには、バンディをモンスターではなく、チャーミングで魅力的な部分も含め人間として立体的に描く必要ありました。映画を見ているうちに「バンディはひょっとしたら無実なのではないか、本当はいい人なのでは?」と思って欲しかったんです。そうすることで、映画の最後に、観客はリズと同じレベルの衝撃を受けることになります。サイコパスに裏切られるということはどういうことなのかを、気持ちの上で体験してほしかった。この映画のエンディングを観て、バンディに対してポジティブな印象を抱いたまま映画館を出る人はいないのではないでしょうか。

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