「これはとても良い廃墟。50年前とは思えない…」ルポライター村田らむが激推し
「これはとても良い廃墟。50年前とは思えない…」ルポライター村田らむが激推しする“奥多摩湖ロープウェイ”
道路沿いにロープウェイに登る階段があった。こちらも50年の歳月が経ち苔むしてかなり味わいが出ている。登っていくと途中で道がなくなってしまった。ただの坂道を根性で登らなければならない。足が滑らないよう、木の根を踏みながらえっちらおっちらと登っていった。
すぐに、老朽化した建物が現れた。建物の回りには樹が食い込むように生えていた。コンクリートは老朽化し、表面が削れてジャリが見えている。表面はコケとカビで呪われたような色になっている。ツタ広がっていて、まるで血管のような不気味な柄が広がる。
窓ガラスはすべて割られていた。
さらに登ると、ロープウェイの駅なのを確認することができた。手書きで『みとうさんぐち』と書かれている。漢字で書くと『三頭山口駅』である。対岸にあるもう1つの駅は『かわの』である。漢字で書くと『川野駅』だ。
そして看板の前にはロープウェイの車両が停まっていた。山の廃村などに行くと、古いボロボロの自動車がよく転がっている。個人的には哀愁が漂っていて好きなモチーフなのだが、ロープウェイの車両はレアな価値もつくのでよりテンションが上がる。
レトロな雰囲気が漂う車両には、正面に『みとう』とひらがなで書かれていた。ビジュアル的にとても良い。
たった3年しか運用されなかった車両だが、それだから逆に50年後の今もここにある。車両はロープにつながれて現在もしっかり空中に浮いていた。よくも下に落下しなかったものだなと少し驚いた。
駅舎内に入ると一気に不穏な空気になる。実はこの廃墟にはかなり前に一度来たことがあったのだが、その時より確実に荒れていた。
柔らかい壁のほとんどは殴られ穴があき、便所の小便器も叩き割られていた。スプレー缶でそこら中に落書きがしてある。
落書き自体書かれてずいぶん時間が経っているようで、薄くなっていた。これを書いたヤンキーは今どこで何をしてるんだろう? 麻薬か暴力で刑務所に入っているのだろうか? それとも意外と真面目になって職人として働いているのだろうか? ヤンキーは子供を作るのが早いから、子供はすでに大きくなって、この廃墟に来て落書きしているのではないだろうか? ヤンキー落書きの輪廻……。などと思わずボーッとしてしまった。暑さのせいである。廃墟で倒れても誰も助けてくれない。少なくとも水は持ってこよう。
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2024.10.02 20:00心霊「これはとても良い廃墟。50年前とは思えない…」ルポライター村田らむが激推しする“奥多摩湖ロープウェイ”のページです。東京、廃墟、村田らむ、奥多摩湖ロープウェイ、奥多摩などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで