原子が結合・分離する瞬間の撮影成功!! 最強顕微鏡(TEM)が捉えた超極小のドラマに感動!【世界初】

■撮影の鍵になったTEMとナノチューブ

 科学結合の破壊や形成をリアルタイムで撮影することは、撮影対象がナノスケールであるがゆえに、挑戦的な課題となっていた。

 チームは透過型電子顕微鏡(TEM)と呼ばれる装置を用いることで問題の解決を図った。TEMは非常に薄いサンプルに対して高出力の電子線を照射し、その全容を捉えるものだ。

 また、彼らはサンプルの土台としてカーボンナノチューブを利用することに決めた。「ミニチュアサイズの試験管」として機能するこの容器は、炭素によって作られた1~2nmの直径をもつ中空の円筒だ。

「ナノチューブは原子や分子を閉じ込め、望ましい場所へ正確に配置するのに役立ちます」(アンドレイ・ホルビストフ博士)

 イギリス、ノッティンガム大学でナノマテリアル工学を研究するアンドレイ・ホルビストフ博士はその利便性に触れるとともに、レニウムが実験の対象として選ばれた理由を解説した。

「今回は互いに結合してRe2を形成するレニウム原子のペアを封入しました。レニウムは原子番号が75と大きいため、TEMを通して見ると“軽い”元素に比べて観察しやすく、それぞれの金属原子を暗い点として識別することが可能なのです」(アンドレイ・ホルビストフ博士)

 結合したレニウム原子は、細かく振動しながら楕円形になり、互いに距離をとってゆく。両原子は最終的にちぎれて振動を止めたが、まもなくして結合が復活し、Re2分子は再形成されていた。

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「Daily Mail」の記事より

■実験の手法が今後のスタンダードに

 このようにして得られた成果は、単に「原子の結合を撮影できた」という現実だけにはとどまらない。ノッティンガム大学のステファン・スコウロン博士は、今回の実験結果が今後の発展した研究への足がかりとなる可能性を指摘している。

「このTEMを利用した実験は、2つのレニウム原子が主に四重結合を介して結合していることを観察することにより、遷移金属化学に関する初歩的な知見をもたらしました。金属原子間の結合は、特に材料の磁気特性、電子特性、または触媒特性を理解するために、非常に重要なものなのです」(ステファン・スコウロン博士)

 また、チームはTEMを用いた観察手法が、今日の実験室で広く利用されている分光法のように一般化し、普及していくと考えているようだ。

 ここまでご紹介した内容は、実験に参加した研究者らにより、米科学雑誌「Science Advances」上に掲載されたものである。

 かつては想像にまかされていた原子の働きだが、ついに目で見て学ぶことができるようになった。表現を変えれば、地球の外側にだけ広がっていた未知なる宇宙が、いまや地球の内側へ――私たちの日常の中へも本格的に広がり出したということなのかもしれない。

参考:「Daily Mail」、ほか

文=Forest

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